早 朝 勉 強 会

①税務通信(3160・3161・3162号)                         平成23年5月16日

地方税での震災対応
  
東日本大震災の被災者等の負担軽減を図るために,固定資産税や個人住民税,不動産取得税,自動車取得税などの地方税に特例措置を設ける「地方税法の一部を改正する法律」が4月27日に参議院で可決し成立した。

【個人住民税】

1.雑損控除の特例
①住宅や家財等に係る損失の雑損控除について,平成23年度住民税での適用を可能とする
②繰越し可能期間を5年とする(現行3年)

2.被災事業用資産の損失の特例
①22年分所得の計算上,被災事業用資産の損失の必要経費への算入を可能とする
②被災事業用資産の損失による純損失について,繰越し可能期間を5年とする(現行3年)。保有資産に占める被災事業用資産の割合が1割以上である場合には,被災事業用資産以外の損失を含めて,現行3年の繰越しが可能な純損失について,繰越期間を5年とする

3.住宅ローン減税の適用の特例
住宅ローン控除の適用住宅が,大震災により滅失等しても,平成25年度分住民税以降の残存期間の継続適用を可能とする

4.財形住宅・年金貯蓄の非課税
平成23年3月11日から平成24年3月10日までに行われた財形住宅・年金貯蓄の大震災による目的外の払戻しについて,利子等に対する遡及課税を行わないこととする

【法人事業税・法人住民税】

1.法人事業税及び法人住民税における減免措置
阪神・淡路大震災時には実施しなかった法人事業税及び法人住民税の災害減免について,地方税法の規定にづき条例の定めるところにより,適切に対応

2.申告の期限延長における法人事業税の中間申告納付の省略
法人事業税の中間申告納付に係る期限と当該中間申告納付に係る事業年度の確定申告納付に係る期限とが同一の日となる場合には,中間申告書の提出を不要とする

【固定資産税・都市計画税】

1.津波により甚大な被害を受けた区域内の土地及び家屋に対する平成23年度分の課税免除
津波により甚大な被害を受けた区域として市町村長が指定する区域内に所在する土地及び家屋について平成23年度分の課税を免除する

2.被災住宅用地の特例
大震災による災害により滅失・損壊した住宅(被災住宅)の敷地の用に供されていた土地(被災住宅用地)を被災後10年度分については,当該土地を住宅用地とみなす⇒固定資産税・都市計画税が軽減される

3.被災代替住宅用地の特例
被災住宅用地の所有者等が当該被災住宅用地に代わる土地(被災代替土地)を平成33年3月31日までの間に取得した場合には,当該被災代替土地のうち被災住宅用地に相当する分について,取得後3年度分,当該土地を住宅用地とみなす⇒固定資産税・都市計画税が軽減される

4.被災代替家屋の特例
大震災による災害により滅失・損壊した家屋(被災家屋)の所有者等が当該被災家屋に代わる家屋(被災代替家屋)を平成33年3月31日までの間に取得し,又は改築した場合には,当該被災代替家屋に係る税額のうち当該被災家屋の床面積相当分について,4年度分2分の1,その後の2年度分3分の1を減額する

5.被災代替償却資産の特例
大震災による災害により滅失・損壊した償却資産の所有者等が当該償却資産に代わる償却資産を平成28年3月31日までの間に,被災地域において取得し又は改良した場合には,課税標準を4年度分2分の1とする

【不動産取得税】

1.被災代替家屋の取得に係る特例
被災家屋の所有者等が当該被災家屋に代わる家屋(被災代替家屋)を平成33年3月31日までの間に取得した場合には,被災家屋の床面積相当分には不動産取得税が課されないようにする特例を講じる

2.被災代替家屋の敷地の用に供する土地の取得に係る特例
被災代替家屋の敷地の用に供する土地で,被災家屋の敷地の用に供されていた土地(従前の土地)に代わるものを平成33年3月31日までの間に取得した場合には,従前の土地の面積相当分には不動産取得税が課されないようにする特例を講じる

【自動車取得税】

1.被災代替自動車の取得の非課税
大震災による災害により滅失・損壊した自動車に代わる自動車(被災代替自動車)を平成26年3月31日までの間に取得した場合には,自動車取得税を非課税とする

【自動車税・軽自動車税】

1.被災代替自動車に係る自動車税・軽自動車税の非課税
大震災による災害により滅失・損壊した自動車に代わる自動車(被災代替自動車)に係る平成23年度から平成25年度までの各年度分の自動車税・軽自動車税を非課税とする

【液状化による固定資産税の減免措置は個別に対応】

東日本大震災による被害は広い範囲に及んでいるが,地盤の弱い地域ではいわゆる「液状化現象」が発生
しかし...、4月27日に「地方税法の一部を改正する法律」(地方税に関する震災特例法)が成立し施行されているがこの液状化による固定資産の被害について特に手当されていない
(それぞれの地域や家屋によって被害状況が異なり,震災特例として一律で減免措置を講じることが困難であると判断された??)
⇒液状化現象については,個別の減免措置の規定により対処することとされており, 地方税法367条の固定資産税の減免に基づいて措置が講じられることとなる

【今後の対応議論】

 ①平成24年度に予定されている評価替えについては,できるだけ簡便に実施できるように市町村の実情に配慮して対応を検討

 ②震災特例で被災者向け優良賃貸住宅の割増償却制度などが国税に設けられることから,これに連動させる形で法人住民税,法人事業税についても措置されること

 また...、
国税で設けられる繰戻し還付についても議論され,地方税法では措置されていないため,事業者は損失を繰り越して損金に算入することになるが,事業の再開を断念せざるを得ない場合には繰越しの機会がなく公平性を欠くと問われた。法人税に連動する法人住民税にも,地方団体の事務体制が整った後にでも還付できるようにすべきという指摘だが,これに対しては,法人税とは異なり住民税は応益的性格であるため,個々の事情に応じて遡って調整する措置は限定的にされているもので,税の基本的性格から繰戻し還付は導入されないとした。
                                                     以上



早 朝 勉 強 会

①税務通信31563157号(参考文献)                                                                平成230328

平成23324 <国税庁> 災害に関して法人や事業を営む個人が支出する費用などの現行の主な税務上の取扱い 


<法人税及び所得税共通>

(1) 災害により滅失・損壊した資産等
   法人税法第22 3 所得税法第37 1 51 1

法人の有する商品,店舗,事務所等の資産が災害により被害を受けた場合に,その被災に伴い次のような損失又は費用が生じたときには,その損失又は費用の額は損金の額に算入されます。なお,事業を営む個人の有する事業用資産についても,同様となります。

① 商品や原材料等の棚卸資産,店舗や事務所等の固定資産などの資産が災害により滅失
  又は損壊した場合の損失の額

② 損壊した資産の取壊し又は除去のための費用の額

③ 土砂その他の障害物の除去のための費用の額

 

(2) 復旧のために支出する費用 法基通786 所基通3711 37122 37142

法人が,災害により被害を受けた固定資産(以下「被災資産」といいます。)
について支出する次のような費用に係る資本的支出と修繕費の区分については,次のとおりとなります。

① 被災資産についてその原状を回復するための費用は,修繕費となります。

② 被災資産の被災前の効用を維持するために行う補強工事,排水又は土砂崩れの防止等のために支出する費用について,修繕費とする経理をしているときは,この処理が認められます。

③ 被災資産について支出する費用(①又は②に該当するものを除きます。)の額のうち,資本的支出か修繕費か明らかでないものがある場合,その金額の30%相当額を修繕費とし,残額を資本的支出とする経理をしているときは,この処理が認められます。

なお,これらの取扱いは,事業を営む個人においても同様となります。

(注)  法人が災害により被害を受けた製造設備に対して支出する修繕費用等について,
    企業会計上,適正な原価計算に基づいて原価外処理(費用処理)をしているときは,
    税務上もこの処理が認められます。

 

(3) 従業員等に支給する災害見舞金品 措通(法)614(1)10 (2) 614(1)18 (4)

法人が,災害により被害を受けた従業員等又はその親族等に対して一定の基準に従って支給する災害見舞金品は,福利厚生費として損金の額に算入されます。

また,法人が,自己の従業員等と同等の事情にある専属下請先の従業員等又はその親族等に対して一定の基準に従って支給する災害見舞金品についても,同様に損金の額に算入されます。なお,事業を営む個人においても同様に取り扱われます。

 

(4) 災害見舞金に充てるために同業団体等へ拠出する分担金等 法基通97154 所基通3796

法人が,所属する同業団体等の構成員の有する事業用資産について災害により損失が生じた場合に,その損失の補てんを目的とする構成員相互の扶助等に係る規約等に基づき合理的な基準に従って,同業団体等から賦課され,拠出する分担金等は,その支出する事業年度の損金の額に算入されます。なお,この取扱いは,事業を営む個人においても同様となります。

 

<法人税関係>

(5) 取引先に対する災害見舞金等 措通(法)614(1)103

法人が,被災前の取引関係の維持・回復を目的として,取引先の復旧過程においてその取引先に対して行った災害見舞金の支出,事業用資産の供与等のために要した費用は,交際費等に該当しないものとして損金の額に算入されます。

 

(6) 取引先に対する売掛金等の免除等 法基通9462 措通(法)614(1)102

法人が,災害を受けた取引先の復旧過程において,復旧支援を目的として売掛金,貸付金等の債権を免除する場合には,その免除することによる損失は寄附金又は交際費等以外の費用として損金の額に算入されます。

また,既契約のリース料,貸付利息,割賦代金の減免を行う場合及び災害発生後の取引につき従前の取引条件を変更する場合も,同様に取り扱われます。


(7)
 取引先に対する低利又は無利息による融資 法基通9463

法人が,災害を受けた取引先の復旧過程において,復旧支援を目的として低利又は無利息による融資を行った場合における通常収受すべき利息と実際に収受している利息との差額は,寄附金に該当しないものとされます。

 

(8) 自社製品等の被災者に対する提供 法基通9464 措通(法)614(1)104

法人が,不特定又は多数の被災者を救援するために緊急に行う自社製品等の提供に要する費用は,寄附金又は交際費等に該当しないもの(広告宣伝費に準ずるもの)として損金の額に算入されます。

 

(9) 災害による損失金の繰越し 法人税法第58 1

法人の各事業年度開始の日前7年以内に開始した事業年度において生じた欠損金額のうち,棚卸資産,固定資産等について災害により生じた損失に係るもの(災害損失欠損金額)がある場合には,その事業年度が青色申告書を提出しなかった事業年度であっても,その災害損失欠損金額に相当する金額は,その各事業年度において損金の額に算入されます。

 

<所得税関係>

(10) 個人が支払を受ける災害見舞金 所基通923

個人が支払を受ける災害見舞金で,その金額がその受贈者の社会的地位,贈与者との関係等に照らし社会通念上相当と認められるものについては,課税しないものとされています。

 

(11) 低利又は無利息により生活資金の貸付けを受けた場合の経済的利益 所基通3628 (1)

災害により臨時的に多額な生活資金を要することとなった役員又は使用人が,使用者からその資金に充てるために低利又は無利息で貸付けを受けた場合に,その返済に要する期間として合理的と認められる期間内に受ける利息相当額の経済的利益は,課税しなくて差し支えないこととされています。

 

(12) 被災事業用資産の損失の繰越し 所得税法第70 2

事業を営む個人のその年の前年以前3年内の各年において生じた純損失の金額のうち,棚卸資産,固定資産等について災害により生じた損失に係るもの(被災事業用資産の損失の金額)がある場合には,その損失の生じた年分が青色申告書を提出しなかった年分であっても,その被災事業用資産の損失の金額に相当する金額は,その年分の総所得金額等の計算上控除することとされています。

 

<相続・贈与税関係>

(13) 農地等に係る納税猶予の特例の継続適用 措通(相)70412 706133

相続税又は贈与税における「農地等に係る納税猶予の特例」の適用を受けている農地等が,農業に使用されなくなった場合には,納税が猶予されていた一定の税額を納付しなければならないこととされています。

しかし,その農地等が,例えば建築資材の置き場に使用されるなど,災害のためにやむを得ず一時的に農業に使用されなくなった場合には,その土地は農業に使用しているものとして特例の適用が継続されます。

 

<印紙税関係>

(14) 災害義援金の受取書 印基通別表第117号文書33

新聞社,放送局等が,災害援助を目的として一般から広く義援金を募集する場合,災害義援金の受領事実を証明するために作成する受取書は,課税しないことに取り扱われます。

なお,金融機関が災害義援金の振込依頼を窓口等で受け付けた際に作成する受取書で次のいずれにも該当するものについても同様に取り扱われます。
① 振込手数料が無料であること 
② 振込先が広く一般に災害義援金を募っている団体等であること

③ 災害義援金の振込金受取書であることがその文書上明らかにされていること

 

<自動車重量税関係>

(15) 被災自動車に係る自動車重量税の還付 災害被害者に対する租税の減免,徴収猶予等に関する法律第8 ,租税特別措置法第90条の13

自動車の販売業者又は自動車分解整備事業者が,自動車の使用者のために自動車検査証(車検証)の交付等又は車両番号の指定を受ける目的で保管している自動車のうち,自動車重量税を納付して車検証の交付等又は車両番号の指定を受けた後,被災により走行の用に供されることなく使用が廃止されたものについては,納付した自動車重量税の還付を受けることができます。

なお,既に走行の用に供していた自動車については,使用済自動車の再資源化等に関する法律(自動車リサイクル法)等に基づき適正に解体された場合には,還付される制度があります。

 

その他
財務省は,中央共同募金会が募集するNPO法人や民間ボランティア団体等向けの寄附金を,税制上の優遇措置が受けられる「指定寄附金」に指定した。 
                                                  以上


 

早朝勉強会資料
                                              平成22年5月17日 
税務通信 No.3113より
                               
内容    グループ法人税制 寄附金の全額損金不算入の改正に影響    
子会社支援損等の取扱いに変更なし → 従来通り取扱いに該当する支援損等は損金算入

 法人による完全支配関係を有する法人間での寄附金は、寄附した側で全額損金不算入となり、寄附を受けた側においては全額益金不算入となる改正が行われた。

 寄附金の改正に対して、税理士や企業の間では寄附金に係る重要な取扱いのひとつである子会社支援損や整理損に係る取引についても、改正が行われるかどうか気になるようだ。
 
 ただ、今回の改正は、寄附金に該当する場合における損金処理についての改正であって、寄附金の意義等を改正しているわけではないため、子会社支援損に関する取扱いの改正は行われないという。

 やむを得ない相当な理由がある場合は支援損等は寄附金に該当せず。
 寄附金に関して、法人税法基本通達では第9章「その他の損金」に、寄附金の範囲等の取り扱いが記されている。その中で、親子会社間に関する寄附金の取扱いとして、「子会社等を整理する場合の損失負担等」(法基通9-4-1)と「子会社等を再建する場合の無利息貸付等」(法基通9-4-2)がある。

 2つの取扱いは支援損等に関するもので9-4-1は、やむを得ず損失負担等したことについて相当な理由があると認められるとき、損失負担等により、供与する経済的利益の額は、寄附金に該当しないというもの。9-4-2は、やむを得ず行われる合理的な再建計画の基で無利息貸付等したことについて相当な理由があると認められるときに、無利息貸付等により、供与する経済的利益の額は寄附金に該当しないというもの

 法人による完全支配関係の場合では寄附金は全額損金不算入
 ところで、連結法人間以外のケースで、支出した寄附金等について現行は限度額の範囲内で損金算入され、受贈益については、益金算入されるが、平成22年10月1日以後に支出した寄附金については、法人による完全支配関係にある法人間による支出の場合は全額損金不算入となる改正が行われた。

 寄附金に関する改正が行われたため、支援損等の取扱いに何らかの変更となるのではないかという向きがあるようだ。

 子会社支援等の取扱いは寄附金に該当の有無に関するもの
 法人が支出した金額については、大まかに費用・損失にあたり、別段の定めがあるものを除いて損金算入されるものと、寄附金に該当して限度額範囲内でしか損金算入されないものの2つに分けられる。9-4-1と9-4-2の取扱いは、前述のように子会社支援等のために支出した金額について、事実に基づき相当な理由等があれば、寄附金に該当しない取扱い、つまり、支出金額の入り口に関する取扱いである。

 一方で22年度の改正では、あくまで寄附金になるものに対して、法人による完全支配関係の法人間で行われているものは、限度額範囲内の損金算入をすることから、全額損金不算入とすることへの改正である。
 このように、寄附金そのものの考え方に関する変更ではないことから9-4-1、9-4-2については改正することはないという。なお、支援等を受けた会社での受け入れた収入は、益金不算入となる受贈益には該当せず、雑益扱いとなるようだ。

《参 考》

法人税法基本通達9-4-1(子会社等を整理する場合の損失負担等)
 法人がその子会社等の解散、経営権の譲渡等と伴い当該子会社等のために債務の引き受けその他損失負担又は、債権放棄等(以下、「損失負担等」という。)をした場合において、その損失負担等をしなければ今後より大きな損失をこうむることになることが社会通念上明らかであると認められるため、やむを得ずその損失負担等をするに至った等そのことについて相当な理由があると認められるときは、その損失負担等により、供与する経済的利益の額は、寄附金の額に該当しないものとする。

法人税法基本通達9-4-2(子会社等を再建する場合の無利息貸付け等)
 法人がその子会社等に対して金銭の無償若しくは、通常の利率よりも低い利率での貸付等又は債権放棄等(以下、「無利息貸付け等」という。)をした場合にはおいて、その無利息貸付け等が、例えば、業績不振の子会社等の倒産を防止するためにやむを得ず行われるもので合理的な再建計画に基づくものである等その無利息貸付け等をしたことについて相当な理由があると認められるときは、その無利息貸付け等により供与する経済的利益の額は、寄附金の額に該当しないものとする。
                                                                                                              以上


早 朝 勉 強 会
税務通信(3091号&3092号)より抜粋                        平成21年11月30日

【内容】
政府税制調査会は17日以降,22年度税制改正のとりまとめに向けた審議を本格化させている。17・18の両日には各府省から提出された税制改正要望を踏まえ,新政権が22年度以降に検討する主要項目について審議。

法人課税の主要論点

① 中小軽減税率

→中小軽減税率を18%から11%へ引き下げることについては中小法人の約2/3を占める欠損法人に減税の利点が及ばないため,個人事業主との税負担のバランスを考えて検討

② 特殊支配同族会社の業務主宰役員給与の損金不算入制度

→特殊支配同族会社の損金不算入制度については廃止によりオーナーの給与に係る二重控除の復活や個人事業主との不均衡の拡大を問題視し,廃止する場合は税負担の不均衡を解消する効果的な代替措置が不可欠と提起

③ 資本に関係する取引等に係る税制(グループ法人税制)

→90年代以降の企業の組織形態に対応し連結納税制度や組織再編税制等の改正が行われたが,持ち株会社などの大法人が中小企業の特例を目的 に100%子会社を設立するケースが指摘されるなど最近の経済実態の変化に合わせ,公平・中立性の観点から見直しについて議論

所得課税の主要論点

① 扶養控除の廃止

→新政権が掲げる「控除から手当へ」の考え方に沿い、22年度改正で「子ども手当」の議論。地方税における扶養控除についても時期等を含め廃止するかどうかを検討

② 特定扶養控除のあり方

→高校の実質無償化と合わせ特定扶養控除のあり方も議論

資産課税の主要論点

① 相続税の基礎控除の水準&相続税の税率構造のあり方

→バブル経済期の地価急騰により引上げられてきた相続税の基礎控除の水準は近年の地価下落以降も維持され税率構造も最高税率の引下げを含め緩和されている。このため相続税の基礎控除や税率構造につき検討

② 贈与税のあり方

→最高税率や相続時精算課税のような連動している贈与税のあり方についても検討

要望項目以外の論点

① 相続関係→小規模宅地等の課税の特例が本来の制度趣旨に照らし,的確とは言えないケース
でも適用可能であるとして見直しを検討

② 消費税関係→会計検査院が指摘した自販機設置により消費税の仕入控除税額の調整措置を回避した事例への対処を行うことを加えてられている

政府税調がまとめた主要項目の論点

【個人所得課税】

扶養控除の廃止▽配偶者控除の見直し▽特定扶養控除のあり方▽給与所得控除の控除額の上限設定・各種の所得控除の税額控除化・税率構造の見直し等 【資産課税】 相続税の基礎控除の水準▽相続税の税率構造のあり方▽贈与税のあり方 【法人課税】 中小軽減税率▽一人オーナー会社課税(特殊支配同族会社の業務主宰役員給与の損金不算入制度)▽資本に関係する取引等に係る税制(グループ法人税制) 【国際課税】 外国子会社合算税制▽移転価格税制▽税の情報交換ネットワークの拡充▽適切な課税・徴収のための措置▽国際連帯税 【市民公益税制<寄附税制>】 公益法人等の税制上の運営▽NPO法人や新公益法人などに対する税制上の優遇▽寄附控除制度のあり方▽認定NPO法人の認定手続きの見直し

政府税調がまとめた要望にない項目等

【租税特別措置の見直し】

譲渡益課税の対象となる公社債の範囲の拡充▽小規模宅地等の課税の特例の見直し▽農業経営基盤強化準備金制度の見直し▽特定目的会社に係る課税の特例の要件の見直し▽石油化学製品製造用揮発油(ナフサ)に対する免税措置の見直し 【所得税・相続税・法人税・印紙税関係】 保険契約の範囲の明確化(所得税・相続税・法人税)▽保険証券の範囲の明確化(印紙税) 【所得税関係】 金融商品先物取引に関する支払調書の整備 【相続税関係】 定期金に関する権利の評価方法の見直し▽障害者控除の見直し 【法人税関係】 使途秘匿金の支出がある場合の課税の特例の適用期限の延長▽中小企業者等以外の欠損金の繰戻しによる還付の不適用措置の適用期限の延長 【間接税関係】 消費税の仕入控除税額の調整措置の回避事例への対処▽入国者が輸入するウイスキー等に係る酒税の税率の特例の適用期限の延長▽入国者が輸入する紙巻たばこのたばこ税の税率の特例の適用期限の延長 【個人住民税関係】 60歳以上65歳未満の者の公的年金に係る所得割の徴収方法の見直し▽個人の道府県民税に係る徴収取扱費交付金の特例の整備▽保険契約の範囲の明確化 【たばこ税関係】 消費課税としての不適切事例への対応

各府省の22年度税制改正要望項目の査定結果が明らかに

・経済産業省の要望項目
○ 小規模企業共済制度の加入対象者の拡大
○ 確定拠出年金制度におけるマッチング拠出の容認
○ 中小法人における交際費等の特例
○ 保険会社等の異常危険準備金の延長のうち,火災共済に係る積立率2%への引下げ
○ 事業承継税制の運用状況を踏まえた所要の見直し
●情報基盤強化税制の拡充・延長や研究開発促進税制の一部延長(上乗せ分)は「認められない」
●中小企業者等の少額減価償却資産の特例や中小企業投資促進税制についても「抜本的見直しができなければ認められない」

・国交省の要望項目

○ 住宅取得等資金の贈与に係る相続時精算課税制度の特例の延長・拡充
(ただし500万→2000万の拡充には慎重)
●事業用建築物に係る耐震改修促進税制の延長は認められない
●特定居住用財産の買換え及び交換の場合の長期譲渡所得特例の延長は認められない
・他省庁
○環境省→公害防止用設備の特別償却制度など租特の見直し項目についてはそのまま受け入れる
●文科省→五輪メダリスト及び世界選手権優勝者に対する金品の非課税措置の対象交付団体の拡充等が認められない                                以上


 

日本経済新聞より抜粋   オバマ政権を悩ます「2つの財政赤字」(2009/06/11付け)    平成21年6月15日


グローバル不況を招いた米国発の危機。再生に向けたオバマ政権の取り組みを点検する。経済分野だけでなく、外交・安全保障、社会政策にも目配りし、オバマ大統領による「変革」、日本への影響を読み解く。

“財政赤字”が注目されるきっかけになったのが、バーナンキ米連邦準備理事会(FRB)議長による6月3日の議会証言である。バーナンキ議長は最近の長期金利の上昇について、「巨額の連邦財政赤字への懸念を反映しているようだ」と指摘。「健全な財政を維持するという強い意志を示さない限り、金融の安定や健全な経済成長は成し遂げられない」と警告し、証言を締めくくった。

■バーナンキFRB議長との微妙なズレ
一見かみあっているように見えるFRBとオバマ政権の動きだが、そこには微妙なズレがある。FRBが問題視する財政赤字と、オバマ政権が削減を約束している財政赤字は、必ずしも同じではないのではありません。
現在の米国には性格の違う2つの財政赤字があります。

オバマ政権が半減すると公約した財政赤字は「経済危機を理由とした赤字」です。
景気が悪くなればビルト・イン・スタビライザー(自動安定化装置)機能が働き、失業保険などの歳出増加や税収減少を通じて、赤字は自然に増加します。景気対策などの裁量的な政策も赤字を膨らます要因です。オバマ政権は総額2兆ドルとされる経済危機を理由とした赤字を、危機の緩和と歩調を合わせて減らしていく方針です。
                     
もう1つは医療費の高騰が主な原因となった「構造的な財政赤字」です。
今回の証言でバーナンキ議長が特に問題視していたのは、経済危機とは直接関係のないこの赤字です。バーナンキ議長が証言の最後で述べた警告の文句は、今年3月の議会証言とほとんど変わりません。ただし、そのときの証言では危機克服を見極めて赤字の水準を下げる必要性を説いていました。これならば、オバマ政権の政策と方向性は一致します。ところが今回の証言でのバーナンキ議長の焦点は、すっかり構造的な赤字に移っています。

構造的な財政赤字の問題について、オバマ政権は処方せんを示していません。米議会予算局(CBO)の試算によれば、オバマ政権下でいったん減少した赤字は2013年度から再び増加に転じます。08年度には国内総生産(GDP)比で40.8%だった国債発行残高(民間保有分)も、19年度には82.4%まで上昇すると言われています。

■構造的赤字の削減に力点を
オバマ政権が経済危機の克服を確実にするには「2つの財政赤字」のしゅん別が欠かせません。削減しようとする赤字の性格によって、意識すべき時間軸が違ってくるからです。

オバマ政権が文句なしに力を入れるべきなのは、構造的な財政赤字を減らすための取り組みです。景気が回復してくれば、少なくともビルト・イン・スタビライザーに関する部分の赤字は自然に減っていきます。しかし、構造的な赤字はそうはいきません。

オバマ政権は医療制度改革の議論に本腰を入れ始めています。無保険者の削減がもくろみ通りに進めば、政府負担が重くなりかねません。医療費削減との両立が問われるところです。

一方で、危機を理由とした財政赤字の削減については、タイミングを慎重に計る必要があります。公約したスケジュールにこだわりすぎれば、拙速な赤字削減が景気回復を妨げる結果につながりかねません。

■攻撃的な政策から繊細な政策へ
バーナンキ議長が指摘するように、長期金利の上昇は、景気の先行きが明るくなり、米国債への資金の逃避が緩んできた事情などを反映しています。足元の赤字の水準だけに注目するのは禁物です。

ここまでのオバマ政権は「経済危機の克服」を金科玉条にして、攻撃的な政策を一気呵成(かせい)に打ち出してきました。しかし、危機の出口がちらつき始めるにつれて、政策運営の局面は変わりつつある。オバマ政権には、これまでの剛腕ぶりとは一味違った繊細な判断が求められています。                                                以上

早 朝 勉 強 会
税務通信3062号(平成21年04月13日)より                   平成21年04月13日
上場有価証券の評価損に関するQ&A                      

上場有価証券の評価損の損金算入に当たっては,基本的には個別銘柄ごとの状況を踏まえ,その適否を判断することになります。

株価が50%相当額を下回る場合における株価の回復可能性の判断基準

Q: 当社が長期保有目的で所有する上場株式の時価(株価)は大幅に下落しており,当事業年度末における株価が帳簿価額の50%相当額を下回る状況にあります。
税務上,上場株式の評価損の損金算入が認められるには,一般的に株価が過去2年間にわたり50%程度以上下落した状況になくてはならないというようなことを聞きますが,当社が所有する上場株式はこのような状況に該当しないことから,損金算入することは認められないのでしょうか。

A: 上場株式の事業年度末における株価が帳簿価額の50%相当額を下回る場合における評価損の損金算入に当たっては,株価の回復可能性についての検証を行う必要がありますが,回復可能性がないことについて法人が用いた合理的な判断基準が示される限りにおいては,その基準が尊重されることとなります。
したがって,必ずしも株価が過去2年間にわたり帳簿価額の50%程度以上下落した状態でなければ損金算入が認められないというものではありません。

【解説】 どのような状況であれば,「近い将来回復が見込まれない」と言えるかが問題となります。株価の回復可能性の判断のための画一的な基準を設けることは困難ですが,法人の側から,過去の市場価格の推移や市場環境の動向,発行法人の業況等を総合的に勘案した合理的な判断基準が示される限りにおいては,税務上その基準は尊重されることとなります。

有価証券の評価損の損金算入時期としては,これらの合理的な判断がなされる事業年度で損金算入が認められることとなりますので,必ずしも,株価が過去2年間にわたり帳簿価額の50%程度以上下落した状況でなければ損金算入が認められないということではありません。

 なお,法人が独自にこの株価の回復可能性に係る合理的な判断を行うことは困難な場合もあると考えられます。このため,発行法人に係る将来動向や株価の見通しについて,専門性を有する客観的な第三者の見解があれば,これを合理的な判断の根拠のひとつとすることも考えられます。

 具体的には,専門性を有する第三者である証券アナリストなどによる個別銘柄別・業種別分析や業界動向に係る見通し,株式発行法人に関する企業情報などを用いて,当該株価が近い将来回復しないことについての根拠が提示されるのであれば,これらに基づく判断は合理的な判断であると認められるものと考えられます。

監査法人のチェックを受けて継続的に使用される形式的な判断基準

Q: 当社は,上場株式の事業年度末における時価(株価)が帳簿価額の50%相当額を下回る場合の株価の回復可能性の判断の基準として,過去一定期間における株価動向に関する一定の形式基準を策定したいと考えており,税効果会計等の観点から当社の監査を担当する監査法人のチェックを受けながら,この基準を継続的に使用する予定です。この基準に基づいて損金算入することとした場合,税務上その基準に基づく損金算入の判断は合理的なものと認められますか。

A: 監査法人による監査を受ける法人において,上場株式の事業年度末における株価が帳簿価額の50%相当額を下回る場合の株価の回復可能性の判断の基準として一定の形式基準を策定し,税効果会計等の観点から自社の監査を担当する監査法人から,その合理性についてチェックを受けて,これを継続的に使用するのであれば,税務上その基準に基づく損金算入の判断は合理的なものと認められます。

【解説】貴社の策定した株価動向に関する一定の形式基準に基づく判断は,それが,評価損の損金算入が与える繰延税金資産への影響といった税効果会計等の観点から,株主や債権者などの利害関係者の保護のために財務情報の信頼性を確保する責務を有する独立の監査法人のチェックを受けたものであれば,客観性が確保されていると考えられます。さらに,この基準が継続的に使用されるのであれば,そのような基準に基づく判断は恣意性が排除されていると考えられることから,税務上の損金算入の判断としても合理的なものと認められます。
 ところで,企業会計上は,「時価のある有価証券」については,時価が取得原価に比べて50%程度以上下落した場合には,合理的な反証がない限り,取得原価まで回復する見込みがあるとは認められないとして,評価損の計上(減損処理)を行わなければならないこととされています。

株価の回復可能性の判断の時期

Q: 当社が長期保有目的で所有する上場株式の時価(株価)は大幅に下落しており,当事業年度末における株価が帳簿価額の50%相当額を下回る状況にあります。そこで,当社では当事業年度末時点において合理的な判断基準に基づいて株価の回復可能性を判断した上で,その株式の評価損を損金算入することとしました。

ところで,翌事業年度で株価が上昇した場合など翌事業年度以降に状況の変化があった場合には,当事業年度に評価損として損金算入した処理を遡って是正する必要がありますか。

A:翌事業年度以降に株価の上昇などの状況の変化があったとしても,そのような事後的な事情は,当事業年度末の株価の回復可能性の判断に影響を及ぼすものではなく,当事業年度に評価損として損金算入した処理を遡って是正する必要はありません。
                                        以上
                                 

早朝勉強会 日本経済新聞より                            平成21年4月4日発表
追加経済対策

【概要】
政府・与党が検討している追加経済対策の原案が明らかになった。
企業の研究開発投資への現在の繰越期間を3年程度に延長する。
公共事業の拡大で増える地方自治体の負担を軽くするため、本来なら地方が負担する額の9割を国が肩代わりする。
家計への支援策も盛り込む。景気の悪化に歯止めをかけ、日本の成長力の底上げにつなげる狙いだ。

【内容】
 景気・雇用情勢の悪化を受け、麻生太郎首相は3月末に追加経済対策をまとめるよう指示した。
10日にも発表する。追加対策の財政支出の規模は10兆円を超える過去最大規模に膨らむ見通し。
 現行の研究開発減税では企業が年間で支払った法人税額の最大30%を上限に試験研究費の一部を差し引ける。
 企業が支払った法人税額ですべてを引ききれない場合は、翌年度まで繰り越して減税を受けられる。
 だが2009~10年度は企業業績が悪化、減税分を使い切れないケースが続出する見通し。
 政府・与党は繰越期間を3年前後に延長し、法人税から差し引ける額の上限の引き上げも検討。
 減税規模は合わせて2000億~3000億円程度に膨らむとの見方がある。
 中小企業の交際費の優遇策も拡充する。
 現在は360万円上限に交際費の90%まで損金算入できる。
 贈与税は住宅を購入することを条件に非課税枠を現在の110万円から拡大する方向。
 首相は3月28日、約500万円が「一つの対象」と記者団に語った。
 政府・与党は09年度内の税制改正を視野に法案を作る考え。
 だが与党内に異論もあり、4月の追加対策のとりまとめの時点では減税の案だけを示して、法案提出は先送りする可能性もある。
 公共事業の増加に伴う地方自治体の財政負担の軽減策では自民党が3日、1兆円超の交付金を新設する方針を決めた。
 これを原資に本来は地方自治体が負担する額の9割を国が肩代わりする。
 政府与党が09年度補正予算案に計上する事業を対象とした時限措置とし、財源は建設国債を発行して調達する。
 新交付金は国の直轄・補助事業だけでなく地方単独事業も対象。
 直轄事業の負担率引き下げは本来、法改正が必要だが、今回の方法で法改正の手続きなしに実質負担を肩代わりする。
 財政難に悩む自治体が負担を拒んだ場合、事業が実施できない恐れもあった。
                                                      以上

事業承継税制比較表

2009年1月27日

早朝勉強会

①納税通信3056号より

平成21年1月26日

事業承継税制チェック比較表  

【比較表】

項目
相続税の納税猶予制度贈与税の納税猶予制度
適用
H20年10月1日以後の相続H21年4月1日以後の贈与
納税猶予額
相続した株式の80%(発行済株式総数の2/3が限度)に対応する相続税額一括贈与を受けた株式(発行済株式総数の2/3が限度)にかかる贈与税額の全額
適用要件

(すべての要件を満たすこと)
(被相続人)
  • 会社の代表又は過去に代表者であったこと。
  • 死亡の直前に同族関係者と合わせて発行済株式総数の過半数を保有、かつ、筆頭株主であること。
(贈与者)
  • 会社の代表者であったこと。
  • 同族関係者と合わせて発行済株式総数の過半数を保有、かつ、筆頭株主であること。
  • 役員を退任すること。
適用要件

(すべての要件を満たすこと)
(相続人)
  • 死亡直前において既に取締役で、申告期限までに代表者になっていること。
  • 先代経営者の親族であること。
  • 取得により、同族関係者と合わせて過半数の議決権を有し、かつ、筆頭株主であること。
(受贈者)
  • 会社の代表者であること。
  • 先代経営者の親族であること。
  • 20歳以上であり、かつ、役員就任から3年以上経過していること。
  • 後継者と同族関係者と合わせて過半数の議決権を有し、かつ、筆頭株主になること。
適用要件
(5年間の事業継続)
  • 代表者であること。
  • 雇用の8割以上を維持(厚生年金及び健康保険加入者ベース)。
同左
納税猶予免除要件
  • 会社が倒産又は特別清算。
  • 対象株式の時価が猶予税額を下回る中、当該株式の譲渡を行った場合。
  • 次の後継者に対象株式を一括贈与した場合。
  • 左に加えて、先代経営者の死亡が加わる。

【相続税納税猶予制度の生前準備】
計画的な承継に係る取組(後継者の確定、株式の計画的承継等)に関する経済産業大臣の確認が必要。
(以下のいずれかの場合は大臣確認不要)

  1. H20年10月1日からH22年3月31日までに死亡。
  2. 先代経営者が60歳未満。
  3. 先代経営者の公正証書遺言により取得する株式を合わせると、後継者が発行済株式の過半数を有する場合。

早 朝 勉 強 会
①税務通信3046号より(平成20年12月15日)                       平成20年12月15日
事業承継税制の創設で株式の贈与についても納税猶予へ
(平成21年度の税制改正で制度化される承継税制の概要)           

平成21年度税制改正において,事業承継税制が制度化され,「中小企業における経営の承継の円滑化に関する法律」の施行日である平成20年10月1日に遡って適用される。
21年度の改正では,昨年の大綱に記載されたいわゆる相続税の課税方式の見直しについては見送られたわけだが,事業承継税制については課税方式の変更にかかわらず行われる。

◎納税が免除される場合を具体化
周知の通り,事業承継税制では,中小企業の事業承継において,事業継続に必要とされる自社株式等の相続税については,80%納税が猶予されることとなり,一定の場合には猶予された相続税が免除されることとなる。

この一定の場合とは、
経済産業大臣の認定期間後に,後継者の死亡以外に納税の免除が認められるケースとして
 ①会社が破産又は特別清算した場合
 ②納税猶予の対象となった株式の時価が猶予税額を下回り,
  事業を継続するためにその株式を譲渡した場合
 ③次の後継者に納税猶予対象株式を贈与して,事業の継続を図る場合,とされた。

○小規模宅地の特例との併用も可
この事業承継における相続税の納税猶予制度は,小規模宅地特例との併用が認められる。
これまでも両制度の部分的な併用は可能とされてきたわけだが,今回の改正によりそれぞれの制度において,それぞの制度の上限までの適用が可能となる。

○贈与についても納税猶予
また,株式の生前贈与を促進するための税制措置も講じられることとなり,
平成21年4月1日以降に,経営者の親族である後継者が,一括で株式の贈与を受けた場合には,その後継者の贈与税が猶予される。その場合,経営者が相続税の納税猶予制度の適用を受けていない場合も利用が可能となる。なお,後継者が贈与税の納税猶予制度の適用を受けている場合であっても,後継者を含む推定相続人は相続時精算課税制度の利用も可能となる。

日本経済新聞より                                平成20年10月20日
原油、穀物がピークの半値 国際商品価格の値下げが加速。

ニューヨーク原油先物が16日、1年2ヶ月ぶりに1バレル70ドルを割り、7月につけた過去最高値の半分以下になった。小麦や大豆などもピーク時の半値程度に下がった。
株式市場などからシフト、未曽有の商品高を演出した世界の余剰マネーが金融危機や実体経済の悪化で行き場を失った。大幅な商品価格の下落は来春にかけ国内物価にも波及、景気にも一定のプラスをもたらしそう。

ニューヨーク原油先物の16日終値は1バレル69.85ドルと過去最高値からの下げ幅は52%に達した。
9月15日のリーマンブラザーズの破綻以降、資金確保に追われたファンドなどが投資分を損失覚悟で現金化し、値下がりが一気に加速。
昨年夏にサブプライムローン危機が表面化して以降、世界の余剰マネーが株式市場から商品市場に流れ込み、これが原油などの大幅上昇を演出した。しかし極端な高値は物価上昇を通じて実体経済を圧迫。国際エネルギー機関が今年の世界の石油需要予測を年初の前年比2.3%増から0.5%増に下方修正するなど実需低迷が鮮明になってきたことで、世界を揺らした余剰マネーは損失という形で市場から消えつつある。
「中国の需要減速はこれから。原油は50ドル台まで下落する可能性がある」との見方もある。国際商品価格の急落は来年にかけて様々な製品やサービスの値下げを促すことになる。

・ガソリン 
出光興産が17日、20-26日に出荷するガソリン卸値(全国平均)を前週比で1リットル7.9円下げると発表。 14日時点で1リットル161.6円だったレギュラーガソリンが来週にも160円台を割る可能性が高い。

・航空運賃
来年からは値下がりに転じる見通し。日本航空と全日空は5-7月の航空燃料相場を基に本体運賃に上乗せする燃料サーチャージを10月から欧米線で66000円(往復)と10,000円以上上げた。
原油価格の下落で来年1月からは同線で8,000円から15,000円の値下げになると見られている。

・電気料金
今年7-9月の燃料費が反映される来年1-3月はまだ値上げになるものの、東京電力は経済産業省の要請を受け1月からの値上げ幅を圧縮する方針。
 
・小麦相場
ピークだった2月末の4割の水準に下落。輸入小麦の政府売り渡し価格が改定されるのは年2回で、最近の相場下落が反映されるのは来年4月の改定時になる。政府価格は今月引き上げられたばかりだが、消費者の買い控えを懸念する山崎製パン、日清食品など食品各社は当面値上げを見送る方針

原油価格が今後も60-70ドルなら、100ドルの場合と比べGDPは0.15%増え、企業収益は2.1-2.2%押し上げられる見通し。原油などの資源高が続くと国内企業から海外の資源国への支払いが増え、日本から海外への所得流出が拡大するが、原油反発のよりこれの歯止めがかかりそう。
日本からの所得流出額を示す交易損失は2002年4-6月以降拡大が続き、4-6月は年率28兆円、7-9月は30兆円前後に増える見込みだが、原油価格が落ち着けば、10-12月以降は縮小する公算が大きい。一方原油高で潤っていた中東の原油国の所得は減少すると日本から資源国への輸出も減る恐れがある。原油下落の背景にある、世界的な景気低迷も日本経済にマイナスとなる。
                                                    以上