早 朝 勉 強 会
①税務通信3156号3157号(参考文献) 平成23年03月28日
平成23年3月24日 <国税庁> 災害に関して法人や事業を営む個人が支出する費用などの現行の主な税務上の取扱い
<法人税及び所得税共通>
(1) 災害により滅失・損壊した資産等
( 法人税法第22条 第3項 , 所得税法第37条 第1項 , 第51条 第1項 )
法人の有する商品,店舗,事務所等の資産が災害により被害を受けた場合に,その被災に伴い次のような損失又は費用が生じたときには,その損失又は費用の額は損金の額に算入されます。なお,事業を営む個人の有する事業用資産についても,同様となります。
① 商品や原材料等の棚卸資産,店舗や事務所等の固定資産などの資産が災害により滅失
又は損壊した場合の損失の額
② 損壊した資産の取壊し又は除去のための費用の額
③ 土砂その他の障害物の除去のための費用の額
(2) 復旧のために支出する費用 ( 法基通7-8-6 , 所基通37-11 , 37-12の2 , 37-14の2 )
法人が,災害により被害を受けた固定資産(以下「被災資産」といいます。)
について支出する次のような費用に係る資本的支出と修繕費の区分については,次のとおりとなります。
① 被災資産についてその原状を回復するための費用は,修繕費となります。
② 被災資産の被災前の効用を維持するために行う補強工事,排水又は土砂崩れの防止等のために支出する費用について,修繕費とする経理をしているときは,この処理が認められます。
③ 被災資産について支出する費用(①又は②に該当するものを除きます。)の額のうち,資本的支出か修繕費か明らかでないものがある場合,その金額の30%相当額を修繕費とし,残額を資本的支出とする経理をしているときは,この処理が認められます。
なお,これらの取扱いは,事業を営む個人においても同様となります。
(注) 法人が災害により被害を受けた製造設備に対して支出する修繕費用等について,
企業会計上,適正な原価計算に基づいて原価外処理(費用処理)をしているときは,
税務上もこの処理が認められます。
(3) 従業員等に支給する災害見舞金品 ( 措通(法)61の4(1)-10 (2) , 61の4(1)-18 (4) )
法人が,災害により被害を受けた従業員等又はその親族等に対して一定の基準に従って支給する災害見舞金品は,福利厚生費として損金の額に算入されます。
また,法人が,自己の従業員等と同等の事情にある専属下請先の従業員等又はその親族等に対して一定の基準に従って支給する災害見舞金品についても,同様に損金の額に算入されます。なお,事業を営む個人においても同様に取り扱われます。
(4) 災害見舞金に充てるために同業団体等へ拠出する分担金等 ( 法基通9-7-15の4 , 所基通37-9の6 )
法人が,所属する同業団体等の構成員の有する事業用資産について災害により損失が生じた場合に,その損失の補てんを目的とする構成員相互の扶助等に係る規約等に基づき合理的な基準に従って,同業団体等から賦課され,拠出する分担金等は,その支出する事業年度の損金の額に算入されます。なお,この取扱いは,事業を営む個人においても同様となります。
<法人税関係>
(5) 取引先に対する災害見舞金等 ( 措通(法)61の4(1)-10の3 )
法人が,被災前の取引関係の維持・回復を目的として,取引先の復旧過程においてその取引先に対して行った災害見舞金の支出,事業用資産の供与等のために要した費用は,交際費等に該当しないものとして損金の額に算入されます。
(6) 取引先に対する売掛金等の免除等 ( 法基通9-4-6の2 , 措通(法)61の4(1)-10の2 )
法人が,災害を受けた取引先の復旧過程において,復旧支援を目的として売掛金,貸付金等の債権を免除する場合には,その免除することによる損失は寄附金又は交際費等以外の費用として損金の額に算入されます。
また,既契約のリース料,貸付利息,割賦代金の減免を行う場合及び災害発生後の取引につき従前の取引条件を変更する場合も,同様に取り扱われます。
(7) 取引先に対する低利又は無利息による融資 ( 法基通9-4-6の3 )
法人が,災害を受けた取引先の復旧過程において,復旧支援を目的として低利又は無利息による融資を行った場合における通常収受すべき利息と実際に収受している利息との差額は,寄附金に該当しないものとされます。
(8) 自社製品等の被災者に対する提供 ( 法基通9-4-6の4 , 措通(法)61の4(1)-10の4 )
法人が,不特定又は多数の被災者を救援するために緊急に行う自社製品等の提供に要する費用は,寄附金又は交際費等に該当しないもの(広告宣伝費に準ずるもの)として損金の額に算入されます。
(9) 災害による損失金の繰越し ( 法人税法第58条 第1項 )
法人の各事業年度開始の日前7年以内に開始した事業年度において生じた欠損金額のうち,棚卸資産,固定資産等について災害により生じた損失に係るもの(災害損失欠損金額)がある場合には,その事業年度が青色申告書を提出しなかった事業年度であっても,その災害損失欠損金額に相当する金額は,その各事業年度において損金の額に算入されます。
<所得税関係>
(10) 個人が支払を受ける災害見舞金 ( 所基通9-23 )
個人が支払を受ける災害見舞金で,その金額がその受贈者の社会的地位,贈与者との関係等に照らし社会通念上相当と認められるものについては,課税しないものとされています。
(11) 低利又は無利息により生活資金の貸付けを受けた場合の経済的利益 ( 所基通36-28 (1) )
災害により臨時的に多額な生活資金を要することとなった役員又は使用人が,使用者からその資金に充てるために低利又は無利息で貸付けを受けた場合に,その返済に要する期間として合理的と認められる期間内に受ける利息相当額の経済的利益は,課税しなくて差し支えないこととされています。
(12) 被災事業用資産の損失の繰越し ( 所得税法第70条 第2項 )
事業を営む個人のその年の前年以前3年内の各年において生じた純損失の金額のうち,棚卸資産,固定資産等について災害により生じた損失に係るもの(被災事業用資産の損失の金額)がある場合には,その損失の生じた年分が青色申告書を提出しなかった年分であっても,その被災事業用資産の損失の金額に相当する金額は,その年分の総所得金額等の計算上控除することとされています。
<相続・贈与税関係>
(13) 農地等に係る納税猶予の特例の継続適用 ( 措通(相)70の4-12 , 70の6-13の3 )
相続税又は贈与税における「農地等に係る納税猶予の特例」の適用を受けている農地等が,農業に使用されなくなった場合には,納税が猶予されていた一定の税額を納付しなければならないこととされています。
しかし,その農地等が,例えば建築資材の置き場に使用されるなど,災害のためにやむを得ず一時的に農業に使用されなくなった場合には,その土地は農業に使用しているものとして特例の適用が継続されます。
<印紙税関係>
(14) 災害義援金の受取書 ( 印基通別表第1第17号文書33 )
新聞社,放送局等が,災害援助を目的として一般から広く義援金を募集する場合,災害義援金の受領事実を証明するために作成する受取書は,課税しないことに取り扱われます。
なお,金融機関が災害義援金の振込依頼を窓口等で受け付けた際に作成する受取書で次のいずれにも該当するものについても同様に取り扱われます。
① 振込手数料が無料であること
② 振込先が広く一般に災害義援金を募っている団体等であること
③ 災害義援金の振込金受取書であることがその文書上明らかにされていること
<自動車重量税関係>
(15) 被災自動車に係る自動車重量税の還付 ( 災害被害者に対する租税の減免,徴収猶予等に関する法律第8条 ,租税特別措置法第90条の13 )
自動車の販売業者又は自動車分解整備事業者が,自動車の使用者のために自動車検査証(車検証)の交付等又は車両番号の指定を受ける目的で保管している自動車のうち,自動車重量税を納付して車検証の交付等又は車両番号の指定を受けた後,被災により走行の用に供されることなく使用が廃止されたものについては,納付した自動車重量税の還付を受けることができます。
なお,既に走行の用に供していた自動車については,使用済自動車の再資源化等に関する法律(自動車リサイクル法)等に基づき適正に解体された場合には,還付される制度があります。
その他
財務省は,中央共同募金会が募集するNPO法人や民間ボランティア団体等向けの寄附金を,税制上の優遇措置が受けられる「指定寄附金」に指定した。
以上
早 朝 勉 強 会
税務通信(3091号&3092号)より抜粋 平成21年11月30日
【内容】
政府税制調査会は17日以降,22年度税制改正のとりまとめに向けた審議を本格化させている。17・18の両日には各府省から提出された税制改正要望を踏まえ,新政権が22年度以降に検討する主要項目について審議。
法人課税の主要論点
① 中小軽減税率
→中小軽減税率を18%から11%へ引き下げることについては中小法人の約2/3を占める欠損法人に減税の利点が及ばないため,個人事業主との税負担のバランスを考えて検討
② 特殊支配同族会社の業務主宰役員給与の損金不算入制度
→特殊支配同族会社の損金不算入制度については廃止によりオーナーの給与に係る二重控除の復活や個人事業主との不均衡の拡大を問題視し,廃止する場合は税負担の不均衡を解消する効果的な代替措置が不可欠と提起
③ 資本に関係する取引等に係る税制(グループ法人税制)
→90年代以降の企業の組織形態に対応し連結納税制度や組織再編税制等の改正が行われたが,持ち株会社などの大法人が中小企業の特例を目的 に100%子会社を設立するケースが指摘されるなど最近の経済実態の変化に合わせ,公平・中立性の観点から見直しについて議論
所得課税の主要論点
① 扶養控除の廃止
→新政権が掲げる「控除から手当へ」の考え方に沿い、22年度改正で「子ども手当」の議論。地方税における扶養控除についても時期等を含め廃止するかどうかを検討
② 特定扶養控除のあり方
→高校の実質無償化と合わせ特定扶養控除のあり方も議論
資産課税の主要論点
① 相続税の基礎控除の水準&相続税の税率構造のあり方
→バブル経済期の地価急騰により引上げられてきた相続税の基礎控除の水準は近年の地価下落以降も維持され税率構造も最高税率の引下げを含め緩和されている。このため相続税の基礎控除や税率構造につき検討
② 贈与税のあり方
→最高税率や相続時精算課税のような連動している贈与税のあり方についても検討
要望項目以外の論点
① 相続関係→小規模宅地等の課税の特例が本来の制度趣旨に照らし,的確とは言えないケース
でも適用可能であるとして見直しを検討
② 消費税関係→会計検査院が指摘した自販機設置により消費税の仕入控除税額の調整措置を回避した事例への対処を行うことを加えてられている
政府税調がまとめた主要項目の論点
【個人所得課税】
扶養控除の廃止▽配偶者控除の見直し▽特定扶養控除のあり方▽給与所得控除の控除額の上限設定・各種の所得控除の税額控除化・税率構造の見直し等 【資産課税】 相続税の基礎控除の水準▽相続税の税率構造のあり方▽贈与税のあり方 【法人課税】 中小軽減税率▽一人オーナー会社課税(特殊支配同族会社の業務主宰役員給与の損金不算入制度)▽資本に関係する取引等に係る税制(グループ法人税制) 【国際課税】 外国子会社合算税制▽移転価格税制▽税の情報交換ネットワークの拡充▽適切な課税・徴収のための措置▽国際連帯税 【市民公益税制<寄附税制>】 公益法人等の税制上の運営▽NPO法人や新公益法人などに対する税制上の優遇▽寄附控除制度のあり方▽認定NPO法人の認定手続きの見直し
政府税調がまとめた要望にない項目等
【租税特別措置の見直し】
譲渡益課税の対象となる公社債の範囲の拡充▽小規模宅地等の課税の特例の見直し▽農業経営基盤強化準備金制度の見直し▽特定目的会社に係る課税の特例の要件の見直し▽石油化学製品製造用揮発油(ナフサ)に対する免税措置の見直し 【所得税・相続税・法人税・印紙税関係】 保険契約の範囲の明確化(所得税・相続税・法人税)▽保険証券の範囲の明確化(印紙税) 【所得税関係】 金融商品先物取引に関する支払調書の整備 【相続税関係】 定期金に関する権利の評価方法の見直し▽障害者控除の見直し 【法人税関係】 使途秘匿金の支出がある場合の課税の特例の適用期限の延長▽中小企業者等以外の欠損金の繰戻しによる還付の不適用措置の適用期限の延長 【間接税関係】 消費税の仕入控除税額の調整措置の回避事例への対処▽入国者が輸入するウイスキー等に係る酒税の税率の特例の適用期限の延長▽入国者が輸入する紙巻たばこのたばこ税の税率の特例の適用期限の延長 【個人住民税関係】 60歳以上65歳未満の者の公的年金に係る所得割の徴収方法の見直し▽個人の道府県民税に係る徴収取扱費交付金の特例の整備▽保険契約の範囲の明確化 【たばこ税関係】 消費課税としての不適切事例への対応
各府省の22年度税制改正要望項目の査定結果が明らかに
・経済産業省の要望項目
○ 小規模企業共済制度の加入対象者の拡大
○ 確定拠出年金制度におけるマッチング拠出の容認
○ 中小法人における交際費等の特例
○ 保険会社等の異常危険準備金の延長のうち,火災共済に係る積立率2%への引下げ
○ 事業承継税制の運用状況を踏まえた所要の見直し
●情報基盤強化税制の拡充・延長や研究開発促進税制の一部延長(上乗せ分)は「認められない」
●中小企業者等の少額減価償却資産の特例や中小企業投資促進税制についても「抜本的見直しができなければ認められない」
・国交省の要望項目
○ 住宅取得等資金の贈与に係る相続時精算課税制度の特例の延長・拡充
(ただし500万→2000万の拡充には慎重)
●事業用建築物に係る耐震改修促進税制の延長は認められない
●特定居住用財産の買換え及び交換の場合の長期譲渡所得特例の延長は認められない
・他省庁
○環境省→公害防止用設備の特別償却制度など租特の見直し項目についてはそのまま受け入れる
●文科省→五輪メダリスト及び世界選手権優勝者に対する金品の非課税措置の対象交付団体の拡充等が認められない 以上
日本経済新聞より抜粋 オバマ政権を悩ます「2つの財政赤字」(2009/06/11付け) 平成21年6月15日
グローバル不況を招いた米国発の危機。再生に向けたオバマ政権の取り組みを点検する。経済分野だけでなく、外交・安全保障、社会政策にも目配りし、オバマ大統領による「変革」、日本への影響を読み解く。
“財政赤字”が注目されるきっかけになったのが、バーナンキ米連邦準備理事会(FRB)議長による6月3日の議会証言である。バーナンキ議長は最近の長期金利の上昇について、「巨額の連邦財政赤字への懸念を反映しているようだ」と指摘。「健全な財政を維持するという強い意志を示さない限り、金融の安定や健全な経済成長は成し遂げられない」と警告し、証言を締めくくった。
■バーナンキFRB議長との微妙なズレ
一見かみあっているように見えるFRBとオバマ政権の動きだが、そこには微妙なズレがある。FRBが問題視する財政赤字と、オバマ政権が削減を約束している財政赤字は、必ずしも同じではないのではありません。
現在の米国には性格の違う2つの財政赤字があります。
オバマ政権が半減すると公約した財政赤字は「経済危機を理由とした赤字」です。
景気が悪くなればビルト・イン・スタビライザー(自動安定化装置)機能が働き、失業保険などの歳出増加や税収減少を通じて、赤字は自然に増加します。景気対策などの裁量的な政策も赤字を膨らます要因です。オバマ政権は総額2兆ドルとされる経済危機を理由とした赤字を、危機の緩和と歩調を合わせて減らしていく方針です。
もう1つは医療費の高騰が主な原因となった「構造的な財政赤字」です。
今回の証言でバーナンキ議長が特に問題視していたのは、経済危機とは直接関係のないこの赤字です。バーナンキ議長が証言の最後で述べた警告の文句は、今年3月の議会証言とほとんど変わりません。ただし、そのときの証言では危機克服を見極めて赤字の水準を下げる必要性を説いていました。これならば、オバマ政権の政策と方向性は一致します。ところが今回の証言でのバーナンキ議長の焦点は、すっかり構造的な赤字に移っています。
構造的な財政赤字の問題について、オバマ政権は処方せんを示していません。米議会予算局(CBO)の試算によれば、オバマ政権下でいったん減少した赤字は2013年度から再び増加に転じます。08年度には国内総生産(GDP)比で40.8%だった国債発行残高(民間保有分)も、19年度には82.4%まで上昇すると言われています。
■構造的赤字の削減に力点を
オバマ政権が経済危機の克服を確実にするには「2つの財政赤字」のしゅん別が欠かせません。削減しようとする赤字の性格によって、意識すべき時間軸が違ってくるからです。
オバマ政権が文句なしに力を入れるべきなのは、構造的な財政赤字を減らすための取り組みです。景気が回復してくれば、少なくともビルト・イン・スタビライザーに関する部分の赤字は自然に減っていきます。しかし、構造的な赤字はそうはいきません。
オバマ政権は医療制度改革の議論に本腰を入れ始めています。無保険者の削減がもくろみ通りに進めば、政府負担が重くなりかねません。医療費削減との両立が問われるところです。
一方で、危機を理由とした財政赤字の削減については、タイミングを慎重に計る必要があります。公約したスケジュールにこだわりすぎれば、拙速な赤字削減が景気回復を妨げる結果につながりかねません。
■攻撃的な政策から繊細な政策へ
バーナンキ議長が指摘するように、長期金利の上昇は、景気の先行きが明るくなり、米国債への資金の逃避が緩んできた事情などを反映しています。足元の赤字の水準だけに注目するのは禁物です。
ここまでのオバマ政権は「経済危機の克服」を金科玉条にして、攻撃的な政策を一気呵成(かせい)に打ち出してきました。しかし、危機の出口がちらつき始めるにつれて、政策運営の局面は変わりつつある。オバマ政権には、これまでの剛腕ぶりとは一味違った繊細な判断が求められています。 以上
早 朝 勉 強 会
税務通信3062号(平成21年04月13日)より 平成21年04月13日
上場有価証券の評価損に関するQ&A
上場有価証券の評価損の損金算入に当たっては,基本的には個別銘柄ごとの状況を踏まえ,その適否を判断することになります。
株価が50%相当額を下回る場合における株価の回復可能性の判断基準
Q: 当社が長期保有目的で所有する上場株式の時価(株価)は大幅に下落しており,当事業年度末における株価が帳簿価額の50%相当額を下回る状況にあります。
税務上,上場株式の評価損の損金算入が認められるには,一般的に株価が過去2年間にわたり50%程度以上下落した状況になくてはならないというようなことを聞きますが,当社が所有する上場株式はこのような状況に該当しないことから,損金算入することは認められないのでしょうか。
A: 上場株式の事業年度末における株価が帳簿価額の50%相当額を下回る場合における評価損の損金算入に当たっては,株価の回復可能性についての検証を行う必要がありますが,回復可能性がないことについて法人が用いた合理的な判断基準が示される限りにおいては,その基準が尊重されることとなります。
したがって,必ずしも株価が過去2年間にわたり帳簿価額の50%程度以上下落した状態でなければ損金算入が認められないというものではありません。
【解説】 どのような状況であれば,「近い将来回復が見込まれない」と言えるかが問題となります。株価の回復可能性の判断のための画一的な基準を設けることは困難ですが,法人の側から,過去の市場価格の推移や市場環境の動向,発行法人の業況等を総合的に勘案した合理的な判断基準が示される限りにおいては,税務上その基準は尊重されることとなります。
有価証券の評価損の損金算入時期としては,これらの合理的な判断がなされる事業年度で損金算入が認められることとなりますので,必ずしも,株価が過去2年間にわたり帳簿価額の50%程度以上下落した状況でなければ損金算入が認められないということではありません。
なお,法人が独自にこの株価の回復可能性に係る合理的な判断を行うことは困難な場合もあると考えられます。このため,発行法人に係る将来動向や株価の見通しについて,専門性を有する客観的な第三者の見解があれば,これを合理的な判断の根拠のひとつとすることも考えられます。
具体的には,専門性を有する第三者である証券アナリストなどによる個別銘柄別・業種別分析や業界動向に係る見通し,株式発行法人に関する企業情報などを用いて,当該株価が近い将来回復しないことについての根拠が提示されるのであれば,これらに基づく判断は合理的な判断であると認められるものと考えられます。
監査法人のチェックを受けて継続的に使用される形式的な判断基準
Q: 当社は,上場株式の事業年度末における時価(株価)が帳簿価額の50%相当額を下回る場合の株価の回復可能性の判断の基準として,過去一定期間における株価動向に関する一定の形式基準を策定したいと考えており,税効果会計等の観点から当社の監査を担当する監査法人のチェックを受けながら,この基準を継続的に使用する予定です。この基準に基づいて損金算入することとした場合,税務上その基準に基づく損金算入の判断は合理的なものと認められますか。
A: 監査法人による監査を受ける法人において,上場株式の事業年度末における株価が帳簿価額の50%相当額を下回る場合の株価の回復可能性の判断の基準として一定の形式基準を策定し,税効果会計等の観点から自社の監査を担当する監査法人から,その合理性についてチェックを受けて,これを継続的に使用するのであれば,税務上その基準に基づく損金算入の判断は合理的なものと認められます。
【解説】貴社の策定した株価動向に関する一定の形式基準に基づく判断は,それが,評価損の損金算入が与える繰延税金資産への影響といった税効果会計等の観点から,株主や債権者などの利害関係者の保護のために財務情報の信頼性を確保する責務を有する独立の監査法人のチェックを受けたものであれば,客観性が確保されていると考えられます。さらに,この基準が継続的に使用されるのであれば,そのような基準に基づく判断は恣意性が排除されていると考えられることから,税務上の損金算入の判断としても合理的なものと認められます。
ところで,企業会計上は,「時価のある有価証券」については,時価が取得原価に比べて50%程度以上下落した場合には,合理的な反証がない限り,取得原価まで回復する見込みがあるとは認められないとして,評価損の計上(減損処理)を行わなければならないこととされています。
株価の回復可能性の判断の時期
Q: 当社が長期保有目的で所有する上場株式の時価(株価)は大幅に下落しており,当事業年度末における株価が帳簿価額の50%相当額を下回る状況にあります。そこで,当社では当事業年度末時点において合理的な判断基準に基づいて株価の回復可能性を判断した上で,その株式の評価損を損金算入することとしました。
ところで,翌事業年度で株価が上昇した場合など翌事業年度以降に状況の変化があった場合には,当事業年度に評価損として損金算入した処理を遡って是正する必要がありますか。
A:翌事業年度以降に株価の上昇などの状況の変化があったとしても,そのような事後的な事情は,当事業年度末の株価の回復可能性の判断に影響を及ぼすものではなく,当事業年度に評価損として損金算入した処理を遡って是正する必要はありません。
以上
早朝勉強会 日本経済新聞より 平成21年4月4日発表
追加経済対策
【概要】
政府・与党が検討している追加経済対策の原案が明らかになった。
企業の研究開発投資への現在の繰越期間を3年程度に延長する。
公共事業の拡大で増える地方自治体の負担を軽くするため、本来なら地方が負担する額の9割を国が肩代わりする。
家計への支援策も盛り込む。景気の悪化に歯止めをかけ、日本の成長力の底上げにつなげる狙いだ。
【内容】
景気・雇用情勢の悪化を受け、麻生太郎首相は3月末に追加経済対策をまとめるよう指示した。
10日にも発表する。追加対策の財政支出の規模は10兆円を超える過去最大規模に膨らむ見通し。
現行の研究開発減税では企業が年間で支払った法人税額の最大30%を上限に試験研究費の一部を差し引ける。
企業が支払った法人税額ですべてを引ききれない場合は、翌年度まで繰り越して減税を受けられる。
だが2009~10年度は企業業績が悪化、減税分を使い切れないケースが続出する見通し。
政府・与党は繰越期間を3年前後に延長し、法人税から差し引ける額の上限の引き上げも検討。
減税規模は合わせて2000億~3000億円程度に膨らむとの見方がある。
中小企業の交際費の優遇策も拡充する。
現在は360万円上限に交際費の90%まで損金算入できる。
贈与税は住宅を購入することを条件に非課税枠を現在の110万円から拡大する方向。
首相は3月28日、約500万円が「一つの対象」と記者団に語った。
政府・与党は09年度内の税制改正を視野に法案を作る考え。
だが与党内に異論もあり、4月の追加対策のとりまとめの時点では減税の案だけを示して、法案提出は先送りする可能性もある。
公共事業の増加に伴う地方自治体の財政負担の軽減策では自民党が3日、1兆円超の交付金を新設する方針を決めた。
これを原資に本来は地方自治体が負担する額の9割を国が肩代わりする。
政府与党が09年度補正予算案に計上する事業を対象とした時限措置とし、財源は建設国債を発行して調達する。
新交付金は国の直轄・補助事業だけでなく地方単独事業も対象。
直轄事業の負担率引き下げは本来、法改正が必要だが、今回の方法で法改正の手続きなしに実質負担を肩代わりする。
財政難に悩む自治体が負担を拒んだ場合、事業が実施できない恐れもあった。
以上
①納税通信3056号より
平成21年1月26日
| 事業承継税制チェック比較表 |
【比較表】
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項目
| 相続税の納税猶予制度 | 贈与税の納税猶予制度 |
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適用
| H20年10月1日以後の相続 | H21年4月1日以後の贈与 |
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納税猶予額
| 相続した株式の80%(発行済株式総数の2/3が限度)に対応する相続税額 | 一括贈与を受けた株式(発行済株式総数の2/3が限度)にかかる贈与税額の全額 |
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適用要件
① (すべての要件を満たすこと) | (被相続人)
| (贈与者)
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適用要件
② (すべての要件を満たすこと) | (相続人)
| (受贈者)
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適用要件
③ | (5年間の事業継続)
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同左
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納税猶予免除要件
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【相続税納税猶予制度の生前準備】
計画的な承継に係る取組(後継者の確定、株式の計画的承継等)に関する経済産業大臣の確認が必要。
(以下のいずれかの場合は大臣確認不要)
早 朝 勉 強 会
①税務通信3046号より(平成20年12月15日) 平成20年12月15日
事業承継税制の創設で株式の贈与についても納税猶予へ
(平成21年度の税制改正で制度化される承継税制の概要)
平成21年度税制改正において,事業承継税制が制度化され,「中小企業における経営の承継の円滑化に関する法律」の施行日である平成20年10月1日に遡って適用される。
21年度の改正では,昨年の大綱に記載されたいわゆる相続税の課税方式の見直しについては見送られたわけだが,事業承継税制については課税方式の変更にかかわらず行われる。
◎納税が免除される場合を具体化
周知の通り,事業承継税制では,中小企業の事業承継において,事業継続に必要とされる自社株式等の相続税については,80%納税が猶予されることとなり,一定の場合には猶予された相続税が免除されることとなる。
この一定の場合とは、
経済産業大臣の認定期間後に,後継者の死亡以外に納税の免除が認められるケースとして
①会社が破産又は特別清算した場合
②納税猶予の対象となった株式の時価が猶予税額を下回り,
事業を継続するためにその株式を譲渡した場合
③次の後継者に納税猶予対象株式を贈与して,事業の継続を図る場合,とされた。
○小規模宅地の特例との併用も可
この事業承継における相続税の納税猶予制度は,小規模宅地特例との併用が認められる。
これまでも両制度の部分的な併用は可能とされてきたわけだが,今回の改正によりそれぞれの制度において,それぞの制度の上限までの適用が可能となる。
○贈与についても納税猶予
また,株式の生前贈与を促進するための税制措置も講じられることとなり,
平成21年4月1日以降に,経営者の親族である後継者が,一括で株式の贈与を受けた場合には,その後継者の贈与税が猶予される。その場合,経営者が相続税の納税猶予制度の適用を受けていない場合も利用が可能となる。なお,後継者が贈与税の納税猶予制度の適用を受けている場合であっても,後継者を含む推定相続人は相続時精算課税制度の利用も可能となる。
日本経済新聞より 平成20年10月20日
原油、穀物がピークの半値 国際商品価格の値下げが加速。
ニューヨーク原油先物が16日、1年2ヶ月ぶりに1バレル70ドルを割り、7月につけた過去最高値の半分以下になった。小麦や大豆などもピーク時の半値程度に下がった。
株式市場などからシフト、未曽有の商品高を演出した世界の余剰マネーが金融危機や実体経済の悪化で行き場を失った。大幅な商品価格の下落は来春にかけ国内物価にも波及、景気にも一定のプラスをもたらしそう。
ニューヨーク原油先物の16日終値は1バレル69.85ドルと過去最高値からの下げ幅は52%に達した。
9月15日のリーマンブラザーズの破綻以降、資金確保に追われたファンドなどが投資分を損失覚悟で現金化し、値下がりが一気に加速。
昨年夏にサブプライムローン危機が表面化して以降、世界の余剰マネーが株式市場から商品市場に流れ込み、これが原油などの大幅上昇を演出した。しかし極端な高値は物価上昇を通じて実体経済を圧迫。国際エネルギー機関が今年の世界の石油需要予測を年初の前年比2.3%増から0.5%増に下方修正するなど実需低迷が鮮明になってきたことで、世界を揺らした余剰マネーは損失という形で市場から消えつつある。
「中国の需要減速はこれから。原油は50ドル台まで下落する可能性がある」との見方もある。国際商品価格の急落は来年にかけて様々な製品やサービスの値下げを促すことになる。
・ガソリン
出光興産が17日、20-26日に出荷するガソリン卸値(全国平均)を前週比で1リットル7.9円下げると発表。 14日時点で1リットル161.6円だったレギュラーガソリンが来週にも160円台を割る可能性が高い。
・航空運賃
来年からは値下がりに転じる見通し。日本航空と全日空は5-7月の航空燃料相場を基に本体運賃に上乗せする燃料サーチャージを10月から欧米線で66000円(往復)と10,000円以上上げた。
原油価格の下落で来年1月からは同線で8,000円から15,000円の値下げになると見られている。
・電気料金
今年7-9月の燃料費が反映される来年1-3月はまだ値上げになるものの、東京電力は経済産業省の要請を受け1月からの値上げ幅を圧縮する方針。
・小麦相場
ピークだった2月末の4割の水準に下落。輸入小麦の政府売り渡し価格が改定されるのは年2回で、最近の相場下落が反映されるのは来年4月の改定時になる。政府価格は今月引き上げられたばかりだが、消費者の買い控えを懸念する山崎製パン、日清食品など食品各社は当面値上げを見送る方針
原油価格が今後も60-70ドルなら、100ドルの場合と比べGDPは0.15%増え、企業収益は2.1-2.2%押し上げられる見通し。原油などの資源高が続くと国内企業から海外の資源国への支払いが増え、日本から海外への所得流出が拡大するが、原油反発のよりこれの歯止めがかかりそう。
日本からの所得流出額を示す交易損失は2002年4-6月以降拡大が続き、4-6月は年率28兆円、7-9月は30兆円前後に増える見込みだが、原油価格が落ち着けば、10-12月以降は縮小する公算が大きい。一方原油高で潤っていた中東の原油国の所得は減少すると日本から資源国への輸出も減る恐れがある。原油下落の背景にある、世界的な景気低迷も日本経済にマイナスとなる。
以上