経営計画作成ワンポイント講座

第5講 資金繰りはどうするか。 資金運用計画の作成)その3

 運転資金の計算方法について確認していきます。下記の表は前回の表の下半分を示したものです。

 源泉使途
運転資金
1.固定資金余裕18,000
2.支払手形増加10,000
3.買掛金増加5,000
4.割引手形増加10,000
5.短期借入金増加18,000
1.受取手形増加15,000
2.売掛金増加6,000
3.棚卸資産増加3,000
4.固定預金増加3,000
5.短期借入金返済18,000
6.その他0
7.期 末流動預金16,000
61,000
61,000

「受取手形の増加」は、「手持」と「割引」の合計です。受取手形の期中増加額の計算法は以下の通り です。

期末受取 手形残高-期首受取手形残高=期中受取手形増加額

 期末受取手形の見積もりは、次の受取手形回転率で計算します。

受取手形 回転率=売上高(年商)/受取手形(手持+割引)

 今、前期計算(期首)の受取手形が1億円あり、前期の売上高が5億円であったとします。
計画期間の売上目標が5.75億円であった場合の期末の受取手形は、上記の計算式にあてはめて計算 すると1.15億円となり、期中増加額は15,000千円となる。

 しかし、上記の計算式は前期の回転率に基づいて計算されたものであるので、計画期間の予測される さまざまな要因を加味、あるいは、社長が会社の目標として回転率を調整してもいいです。

 このように回転率で計算するのは、「受取手形」「売掛金」「棚卸資産」「支払手形」「買掛金」で す。
「使途」の「4.固定預金の増加」は、通常「定期積金」のことを指します。
また、「5.短期借入金返済」は、「ころがし」実質返済がなければ「0」でいいです。
「6.その他」は、運転資金の使途、つまり、流動資産の勘定科目を見直して、大きく変化するものが あれば記入をします。

 残るのは、「源泉」の「4.割引手形増加」と「5.短期借入金増加」となります。運転資金の使途 の総額に期末現金流動預金(売上高が伸びている限り、期首残高に売上の伸び率を足したものより、若 干のゆとりを見ます。)を足したものから、固定資金余裕、支手増加、買掛増加、の合計を引いたもの が不足資金となります。

この不足資金を割手と短期借入金に、どう割り振るのかということになります。
まず、割手は、割引手形回転率で計算してみます。
しかし、その金額分だけの原資がなければ割れません。
その原資は「受取手形増加分の八~九割」と考えたらいいと思います。
増加分が全部割れるとは限らないので、このように見積もります。
割引手形の増加分が記入できれば、最後は「短期借入金増加」で調整することになります。
後は全体のバランスを見て、調整します。

 計算をする上で、すでに発生している数字(前期予定納税など)と発生額が明確にできる数字(長期 借入金返済、定期積金など)以外はきりのよい数字を使います。
計画する数字は考えるための数字でありますから、きりのよいものにします。
そして、半端な数字は期末現金流動預金にしわ寄せすればいいです。
以上で「資金運用計画」の完成となります。

 全13回にわたり、経営計画作成について一通りの解説をしてきましたが、実際にペンを取って、実 践してみないと理解はできません。
一度、チャレンジしてみてください。
また、現在、このワンポイント講座の内容を、1日で習得する経営計画作成セミナーの企画をしており ます。
詳細は追ってご紹介させていただきます。
ぜひ振るってご参加ください。

 なお、この経営計画作成ワンポイント講座の解説にあたり、一倉定先生の社長学シリーズを参考図書 とさせていただきました。
最後に、各種シートのご希望、ワンポイント講座内容のご質問、経営計画作成セミナーの問い合わせ等 がありましたらkuriki@cosmos-gr.co.jpまでメールを頂きますようよろしくお願いいたします。

税理士 栗木 博史

 

税理士 栗木博史

税理士 栗木博史

第5講 資金繰りはどうするか。(資金運用計画の作成)その2

具体的に数値を見ながら、記入方法を検討していきます。

紙面の関係もあるので、早速、「資金運用表」の作成方法から順番に確認していきたいと思います。

 源泉使途
固定資金
1.期首現金流動預金15,000
2.当期経常利益30,000
3.当期減価償却費10,000
4.前期予定納税2,000
5.当期設備支払手形7,000
6.増資5,000
7.その他0
8.長期借入金増加20,000
1.(前期利益処分) 
  1)法人税等10,000
  2)配当金3,000
  3)役員賞与2,000
2.当期予定納税5,000
3.長期借入金返済10,000
4.前期設備支手返済6,000
5.当期設備投資35,000
6.その他0
7.固定資金余裕18,000
89,000
89,000
運転資金
1.固定資金余裕18,000
2.支払手形増加10,000
3.買掛金増加5,000
4.割引手形増加10,000
5.短期借入金増加18,000
1.受取手形増加15,000
2.売掛金増加6,000
3.棚卸資産増加3,000
4.固定預金増加3,000
5.短期借入金返済18,000
6.その他0
7.期末流動預金16,000
61,000
61,000

記入作成の順序は、次の通りです。まず、「固定資金」の「使途」から記入をします。
①「前期利益処分」、②「当期予定納税」(前期法人税等の半分)、③「長期借入金返済」(償還明細より)、④「前期設備支手決済」(返済計画より、なお、この支払手形は設備投資のために振り出した長期の手形です。)、⑤「当期設備投資」(設備投資計画より)⑥「その他」(関係会社への出資とか、保証金、敷金等への支出です。)

次にこの必要固定資金を何でいくら補うかを「源泉」で見積もります。①「期首現金流動預金」(定期預金以外の出し入れができる現金、預金をさします。)②「当期経常利益」、「当期減価償却費」は利益計画から持ってきます。③以下「前期予定納税」から「増資」まで順番に記入をしていきます。④その他は「税金の還付金」であったり、「配当金」「役員賞与」の未払い、「土地の売却」「敷金」「保証金」の返還などが入ります。⑤「長期借入金増加」は、固定資金の使途の合計に必要とする「7.固定資金余裕」を足した金額から「固定資金の源泉」の合計を差し引き、その不足分にかなりの余裕を持たせて、長期借入金の増加を計算します。「源泉」と「使途」の差額で「使途」の「7.固定資金余裕」を計算します。運転資金の計算は、次回にその計算を確認します。

資金運用表の参考のフォーマットを希望される方は、件名に「経営計画書式④希望」と表記の上kuriki@cosmos-gr.co.jpまでメールをいただければ、添付ファイルにて送信させて頂きます。

税理士 栗木博史

税理士 栗木博史

第5講 資金繰りはどうするか。(資金運用計画の作成)

「資金」は事業経営にとっては、「損益」と並ぶ最も重要なものであり、社長の資金調達能力は、事業の盛衰を左右するものといっても、過言ではないと思います。また、社長の関心と悩みの最大なもののひとつに資金がることも間違いありません。それにもかかわらず、多くの社長は、「資金音痴」な方が多いです。不思議なことです。しかし、それは、資金に関する本は山のようにあるにもかかわらず、事業の経営に必要な実践理論は皆無といっていいからだと思います。

紙面の関係もあるので、早速、「資金運用表」の作成方法から順番に確認していきたいと思います。

〈第1表〉資金区分による貸借対照表
資産負債・資本
3
(流動資産)
4
(流動負債)
1
(固定資産+繰延資産)
2
(固定負債+引当金+資本金)
〈第2表〉資金運用表
固定資金源泉使途
21
運転資金43

上記表において、それぞれ1.固定資金の使途、2.固定資金の源泉、3.運転資金の使途、4.運転資金の源泉をあらわします。

上記のように貸借対照表〈第1表〉を上下、左右を逆さまにしたものが、資金運用表〈第2表〉であることがお分かりいただけると思います。資金運用表の記載は1.から順番に行う。記入する数字は、「期末において、期首とどれだけ違うか」という差額です。
数字の記入は、まずそれぞれの資金の使途と源泉を見積もります。つまり、「資金運用計算」です。その計算結果を検討して、何か危険はないか、無駄はないか、もっとうまい運用法はないか。・・・・いろいろ検討して決定します。

次回は、具体的に数字を入れて計算をしていきたいと思います。

表記の上kuriki@cosmos-gr.co.jpまでメールをいただければ、添付ファイルにて送信させて頂きます。

税理士 栗木博史

税理士 栗木博史

第3講 いかに売るか。(販売計画の策定)その3
第4講 モノ、ヒトはどうするのか。(設備計画、要因計画の策定)

前回までに販売計画の作り方の要領を解説しましたが、大切なことは要領ではなく、あくまで社長の方針を十分に盛り込むことです。何を伸ばさなければならないのか、どの地域に重点をおくのか、という積極策と、反対に何を捨てるのか、何に力を入れないかという効率化の方針を明らかにすることが重要です。計画は当て物ではなく、その通りに行けばよいのではなく、社長の意図を十分に盛り込み、その実現に挑戦するところに本当の意味があるという認識が大切です。
最後に、販売計画で絶対にやってはいけないことをお話します。それは、営業部門から売上目標とか売上予測とかを提出させてはいけません。売上実績だけを提出させるのです。販売計画というものは、「事業経営」に関することであって、「営業」に関することではありません。販売は事業経営の「中核」です。自らの事業を社長自らの意思で、このようなものにする、というのが経営計画である以上、販売計画といえども社長自らが立てるできです。営業部門の意見を行くことはいいですが、あくまでもそれは、社長の意思決定のための情報の一部であることを忘れてはいけません。

「設備計画」について
わが社の事業構想に基づき、その推進の為の必要性を社長自ら検討して大筋を決定するものが、設備投資計画です。明確な事業方針、設備方針が決まっている場合には、総額だけを決めて、後は自由にやらせてもいいです。何の方針も示さずに、どんな設備がほしいかを、各部門から提出させるなどはいけません。多くの会社では「稟議制度」というものがあり、この「稟議」により下からの設備投資要求を受け付けます。この稟議制度というものは始末に悪いもので、明確な設備投資方針が定まっていない場合、現場からの稟議に却下できないものです。また、ハンコが順番に並んでいるとこれもまた、却下がしにくく、結局、承認されてしまうのです。設備投資計画は、資金計画にも大きく影響することから、明確な方針を持つ必要があります。しかし、設備投資計画は固定化するものではなく、状況の変化に応じて自在に変化するものです。設備というものは、目標達成の為の手段の一つだからです。さて、具体的計画にあたっては、資金計画のことも鑑みると投資額100万円以上のものを計画します。ただし、単価の小さいものであっても、年間で数をまとめて投資する場合には計画に織り込みます。総額が決まれば、資金調達方法の検討し、資金計画に織り込み、また、減価償却計算を行い、利益計画に連動させます。

「要員計画」について
要員計画で重要なのは「期末」です。わが社の人的資源の配分は期末においてこのようにする、という社長の決意をこの計画表によって明らかにするからです。このときに大切なのは、以前にも述べましたように今日の収益を上げる営業部門と明日の収益の為の開発部門を最優先しなければなりません。逆に必要以上に膨れ上がった管理部門の縮小を思い切って実行しなければなりません。このような社長の決意を明らかにすると過去において悩まされた「増員要求」など全くといっていいほどなくなります。とはいっても、減員となるとなかなか手がつけられません。これを解決する為には、「時間」の力を借ります。つまり、達成できるまで根気よく粘るのです。例えば、3年くらいの期間を定め、年度別に減員目標を明示し、不要な仕事を省いたり、仕事のやり方に工夫をこらすように個別具体的に指導するのです。その達成は、上に立つ者の決意如何にかかっているのです。
要員計画は、社長の事業経営に対する基本的な態度をよくあらわしている為、重要視していただきたいです。

 

設備投資計画、要員計画の参考のフォーマットを希望される方は、件名に「経営計画書式③希望」と表記の上kuriki@cosmos-gr.co.jpまでメールをいただければ、添付ファイルにて送信させて頂きます。

<div style="float:right">
  <img src="http://www.cosmos-gr.co.jp/blogimg/onepoint_9.jpg" alt="税理士 栗木博史" width="200" height="180" />
  <p align="center">税理士 栗木博史  </p>
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第3講 いかに売るか。(販売計画の策定)その2
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前回の最後に、利益計画から逆算した目標売上高(粗利益)に対して、現事業、新事業から積み上げた予測売上高(粗利益)は通常、不足するはず、この不足をどのようにして埋めるかが、本当の意味での販売計画であるとお話をしました。この不足を補う道は、もう一度個々の商品ごとに、そこに表れた数字を見直すのが第一です。さらに売上げを増加する方策はないか、粗利益率を高めることはできないかを検討します。このときに突破口となるのが、社長自らが得意先あるいは市場を見て回って手に入れた情報なのです。これがなければ、いくら考えても、具体的に手が出てくるはずがありません。これは、社長が市場と顧客のことを、自らの目と耳と肌で知っていなければ、本物の販売計画を作ることはできないということを意味しています。このような社長の検討によって、目標数値が上乗せされていき、その上乗せ分については、「このような販売促進策をとる」という裏づけがないといけません。そうしないと、単なる数値あわせとなってしまうからです。「目標数値には、それをあげるための方策がなければならない」ということですが、そうはいっても、その方策と上乗せした数値の数学的根拠があるという保証があるわけではありません。<br />
それでもなお、目標数値にはなかなか到達しないことがあります。この場合にはどうしたらよいだろうか。本当のところ、こうなるとあとは、「苦しまぎれ」「でっち上げ」によって、つじつまを合わせるしか、ないように思われます。しかし、この場合にももう一度、「これは最重点商品だから、あと一割上積みする。」「この商品は売上の伸び率が高いから二割増加だ。」「これは粗利益率を2%高めよう。」という具合で行うのです。時にはそれでもなお、どうにもならない時があります。この場合には、「何かわからないが、あとこれだけ必要だ!」という意味で、商品名は「X」としてつじつまを合わせることになります。そして、それは、この計画期間中に考える、とでもするよりほかありません。このあたりは、実際にやった人でしか、その苦しみはわかりません。<br />
こうして、粗利益の目標を達成する計画ができる売上高が、利益計画と食い違うことがあります。その場合には利益計画の売上高を販売計画に合わせて修正するしかありません。<br />
このような苦しみの結果、やっと商品別販売計画が出来上がり、次はこれを月別売上目標に展開します。月別の場合は売上高だけで粗利益は必要ありません。この月別展開は難しいことは考えないで、「これくらいだろう」という感じで月別に割り振ればよいです。社長の思考単位は最小が「一年」でなければなりません。これさえしっかりしていれば、これの月別展開など、大勢に影響はありません。念のために申し上げますが、数字は利益計画と同じようにラウンドナンバー(きりのよい数字)で、千円単位、百万単位でかまいません。
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商品別販売計画の参考のフォーマットを希望される方は、件名に「経営計画書式②希望」と表記の上kuriki@cosmos-gr.co.jpまでメールをいただければ、添付ファイルにて送信させて頂きます。
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税理士 栗木博史

税理士 栗木博史

第3講 いかに売るか。(販売計画の策定)その1

利益計画で示された必要利益を出す為に、「何を」「どれだけ」「どこに」「だれが」売るのかを計画するのが販売計画です。この販売計画こそ、経営計画の中核になるものです。
それは、方針書に明示された事項を目標として設定し、展開し、販売活動の数字的指針とするものです。その中心となるものが「商品別販売計画」です。社長の意図する商品構成と、その売上目標をどうするかを、販売計画によって練り上げます。社長の意図するところと、現実との数々のギャップを埋めることは大変な作業となります。数字合わせであれば、何とでもできますが、いざ、その数値を達成しなければならないと行動レベルで、考えたとき、大変作業となります。この苦しみは、社員にはわからないものです。また、わかってもらおうとするのは誤りです。この苦悩に解答を与えてくれるのは、社長が外に出て、お客様に会うことなのです。よく利益計画だけで、経営計画を完了することがありますが、利益計画だけでは本当の姿は見えてきません。この販売計画に真剣に取り組まないと本当の経営計画とはいえません。
具体的な計画書の作成に当たり最も重要な点は、必要粗利益(付加価値、加工高)です。よく、売上高だけの計画を立てる場合がありますが、これでは片手落ちです。極論すれば、粗利益さえ確保できれば、売上高はいくらでもいいのです。会社に最終利益を生み出すのは、固定費を回収して余りある粗利益を出すことです。売上高をいくらあげても、利益率が低ければ意味がありません。同じ5百万円の粗利益を稼ぎ出す会社として、売上高1億円、粗利益率5%のA社と売上高1千万円、粗利益率50%のB社、どちらが望ましいかといえば、得意先管理、資金繰り等の観点から考えると、当然、B社のほうが望ましいと考えられます。販売計画では、単に売上高の計画だけでなく、利益率もあわせて、計画に組み入れることにより、粗利益をいかに稼ぎ出すのかの計画を立てる必要があります。
よって、販売計画の出発点は、利益計画で示した「目標粗利益」を記入することから始まります。次に現事業の売上高と粗利益を記入します。この際に商品名の全てをあげる必要はなく、売上高のほぼ80%に相当する商品又は商品群(商品群とは、同様な特性と同様な粗利益率を持つ商品を一括したもの)として、残りは「その他」でかまいません。まず、個々の商品又は商品群の記入ですが、予測される売上高に商品別の販売方針を加味した数値を記入します。この際にはあまり、理論的な、または技術的な考え方や計算はしないほうがよいです。とりあえずの数値で目標記入します。(後に大幅な修正を余儀なくされるからです。)同様にして、新事業、新商品についても記入をします。この新事業は、まだ販売していないのでいくらになるのか、わからないので、過度な期待をせずに数値を検討しなければいけません。かといって、意欲的な数値を設定しないとこれに対する販売努力が不足します。現事業と新事業の数値を埋めて、合計を出すと「目標粗利益」に不足するというのが一般的です。ここで、利益計画ではわからない売上(粗利益)達成の難しさをイヤというほど思い知らされるものです。ここから社長の頭をフル回転させ、不足する売上高(粗利益)をどうして埋めるかを考えざるを得なくなります。「この不足をどうして埋めるのか」が本当の意味での販売計画であり、これが利益計画に通じるものです。

 

商品別販売計画の参考のフォーマットを希望される方は、件名に「経営計画書式②希望」と表記の上kuriki@cosmos-gr.co.jpまでメールをいただければ、添付ファイルにて送信させて頂きます。

税理士 栗木博史

税理士 栗木博史

第2講 いかに利益を上げるか。(利益計画の策定)その2

今回からは数値計画について順番に紹介をします。

前回、利益計画の一通りの作成方法を解説させていただきましたが、必要利益(または希望利益)から逆算をしていくと、利益計画に表れる数値は、恐らく、過去からは考えられないような大きな数値になる思います。それを不可能といってしまえば、ほしい利益をあきらめなくてはならない。それどころか、赤字転落になりかねない。とするならば、なんとしてでも売上目標を達成しなければならない。そのためには、従来のやり方、考え方ではだめだということがはっきりしてくる。ここに社長の意識改革が行われるのです。この意識改革こそが、利益計画の最大の効用です。
しかし、どのように実現するのか。これは利益計画だけではなんともならない。利益計画だけで、社員にハッパをかけている社長をよく見かけますが,それでは何の効果も生まない。どうして必要な売上高をあげるかは、社長自身が考えることであり、それには次に示す「販売計画」が必要です。詳細は次回に説明します。
年間目標とそのチェックがすめば、今度はこれを月別に展開します。しかし、利益計画の段階でこれを行うと、その後の販売計画が非常にやりにくくなります。商品(または得意先)ごとの売上高の月別展開の合計と大きな違いが出て、調整が難しいからです。だから、商品(または得意先)ごとの月別展開を行ってから、その合計を利益計画の売上高目標に転記するとスムーズに行きます。次に目標粗利益率をそれぞれの月の売上高に掛け算して、計算をしていきます。その答えは十万円以下を切捨てして、差額は適当な月で調整をします。一般管理費以下は全て十二分の一でかまいません。
部門別に利益計画を組む場合がありますが、この場合に問題となるのは共通費の配賦をどうするのかという点です。しかし、極論を言えば、共通費の発生管理は各部門ではできないので、当然、部門の責任管理は「部門利益」までとなります。よって、共通費の配賦は、人員割くらいが一番妥当であると考えられます。

最後に利益計画というものは、「社長が上げたい利益をまず決めて、逆算によって、粗利益と売上高を出す。」ものであることを念押ししておきます。

前回もお知らせしましたが、参考のフォーマットを希望される方は、件名に「経営計画書式①希望」と表記の上kuriki@cosmos-gr.co.jpまでメールをいただければ、添付ファイルにて送信させて頂きます。

税理士 栗木博史

税理士 栗木博史

第2講 いかに利益を上げるか。(利益計画の策定)その1

今回からは数値計画について順番に紹介をします。

数値計画の出発点はもちろん、利益計画です。企業活動は最終的には利益だから、最終的に手に入れたい利益を目標にして、「何をどうするか」を考え、決定し、行動を始めます。
よって、計画の立て方は、「手に入れたい利益」を目標として設定をし、その利益を上げるために必要な売上高を逆算します。よく見かけるのが、今年の売上高はいくらだから、来期はこれくらいだという形で売上高から求める経営者が多いですが、これでは、会社はつぶれてしまいます。例えば、「手に入れたい利益」が、借入金の要返済額である場合、予測の売上高が低くて、「手に入れたい利益」が不足する場合には、借入金の返済ができません。だから、売上高の計画は予測ではなく、必要売上高でないといけないのです。また、何も「手に入れたい利益」は借入金の要返済額とは限りません。例えば、一人当たり経常利益などを基準に目標を立てられるのがよいでしょう。この一人当たり経常利益は、業界平均値でもよいですし、大きく一人当たり1000万円と立てるのもよいでしょう。以下利益計画を立てるときのポイントを箇条書きにしてみます。

  1. 計画書のフォームは、損益計算書を基礎としますが、諸費用について、変動費と固定費を分けて表示するいわゆる「変動損益計算書」を使用します。
  2. 特別損益項目はもちろん計画書には含みません。
  3. 数値の単位はラウンド・ナンバー(きりのよい数字)使用します。千円単位または百万円単位がよいでしょう。あくまでも計画なので、大きい数値を確認できればよいからです。たとえば、銀行に融資の依頼をするのに、円単位まで言う人はいないと思います。簡単な数値のほうが物事を考える場合や、意思伝達には便利ですから、千円単位くらいが妥当だと思います。
  4. 計画表の項目は次のものを項目とします。
    売上高、外部仕入(変動費)、付加価値(加工高・限界利益・粗利益)、内部費用(固定費)、営業利益、営業外収益、営業外費用、経常利益の順で表示します。
    なお、内部費用はさらに、人件費、経費、減価償却費の3つに分けます。
    ここでは大局をつかむために計画を立てるので、科目別に表示する必要はありません。(もし必要ならば、別紙で明細を設けるとよいでしょう。)なお、減価償却費を分けて表示するのは、後の資金運用計画に必要であるからです。
  5. 計画の立て方は、上記4.の項目を逆に計算をしていきます。
    経常利益=一人当たり経常利益×従業員数
    営業利益=経常利益-営業外収益+営業外費用※1
    付加価値=営業利益+内部費用※2
    売上高 =付加価値÷付加価値率
    ※1営業外収益、営業外費用は、過去の実績よりおよその見当をつける程度でよいです。
    ※2内部費用は次の通りです。
    人件費 → 人員の増減、定期昇給、ベースアップ見込みを織り込む。
    経費、減価償却費 → 過去の伸び率等を参考に決めればよいですが、どうしても気になる場合には、科目別にあるいは設備投資計画に基づいて行うとよいです。
  6. 上記5.で計算された「売上高」は、目標というより、試算であり、一応の目安になるものであるため、ここからいくつかの数値を変更させ、いろいろ検討していきます。
  7. 最後に計画の数値検討をするために末尾に、一人当たり売上高、付加価値、経常利益、労働分配率(付加価値に占める人件費の割合)、損益分岐点を示します。

なお、参考のフォーマットを希望される方は、件名に「経営計画書式①希望」と表記の上kuriki@cosmos-gr.co.jpまでメールをいただければ、添付ファイルにて送信させて頂きます。

税理士 栗木博史

税理士 栗木博史

第1講 社長の思いを文書にする。その4

前回の末尾で紹介しました6つの方針について留意点を確認していきます。

  1. 基本方針
    事業経営に関する最も基本的なもので、これによって会社の進む方向を明らかにします。社長の事業、経営に関する思いを表現されればよいです。これはある程度抽象的な表現になってもかまいません。ただ、それを補足するように「事業構造」に関して述べておくとよいと思います。どんな事業に力を入れ、どんな事業を淘汰していくのか、事情活動はどうするのか、供給体制はどう組むのかというようなことです。
    以下は、基本方針を受けての個別の方針です。
  2. 商品に関する方針
    個々の商品、サービスについての方針です。まず、ランク付けをします。ランクは最重点商品、重点商品、伸長商品、安定商品、成行商品、淘汰商品というようにすると分かりやすいです。そして、それぞれに対する必要な活動、対策などを示していきます。
  3. 得意先に関する方針
    これについても、商品と同様に第一に最重点得意先、重点得意先、安定得意先、成行得意先、淘汰する得意先にランク付けをします。そして、個々に必要な活動、対策などを示します。なお、与信管理に関しても示されるとよいと思います。
  4. 販売促進に関する方針
    大きく次の3つに分けて考えるとよいと思います。「販売網」「広告宣伝」「訪問」です。
    販売促進というものは、営業マンに活動によってその成果が決まるものではなく、トップの方針によって決まるものであると考えます。よく優秀な営業マンをほしがる社長が多いですが、そのような人は通常、独立をしてしまうので、優秀な営業マンに期待するのは間違えであり、普通の能力でまじめにやるということに求めるべきです。また、社長自ら、わが社の商品をどうして売るのか、を考えなければなりません。そのためには、社長自ら、外に出て、お客様の声、市場の状況等をつかむ必要があります。社長室にこもっていては、商品は売れません。
  5. 未来事業に関する方針
    ひとつは過去の開発活動によって、今期に発売できる商品に関することであり、もうひとつは来期以降のために行う事業に関することです。来期以降のための事業活動は、項目の箇条書きのみでもよいし、短期計画では必ずしも示さなくともよく、むしろ長期計画で示すほうが適当です。
  6. 内部体制整備に関する方針
    「わが社の事業方針を推進するために、わが社はどうあるべきか」という観点から、外向き、前向きのものでなければなりません。言い換えれば、まずわが社の今日の収益を上げるための販売体制と商品の供給体制をどう整備するかであり、次にはわが社の将来の収益を上げるための未来事業に関する体制です。あくまで事業の経営に焦点をあわせることが大切で、次元の低い日常業務に焦点をあわせた「管理」に重点を置いてはいけません。

以上、個々のご紹介しましたが、いざ書く段階になるとなかなか進まないものです。何回も何回も読み直し、書き直して、自らの意図と姿勢を示す必要があります。

次回はいよいよ、利益計画のご紹介です。

税理士 栗木博史

税理士 栗木博史

第1講 社長の思いを文書にする。その3

経営計画は目標だけ立てても何もなりません。ただの数値の羅列になります。目標は「仏」であって、「魂」ではありません。「魂」とは、「社長の意思=どのように目標を達成するか。」であります。これは社長自らの意思で決め、「明文化」する必要があります。方針書は、次の三つのことに留意をしなければなりません。

  1. わが社の将来に関するものであること。
  2. 社長の姿勢を示すものであること。
  3. 具体的であること。(箇条書きがよいです。)

まず、第一に「わが社の将来に関するものであること」ですが、不思議なことに、多くの経営計画書の最初に来るのが、「わが社の過去」に関することです。それも、数ページにわたり、書かれていることが多いです。これでは、経営計画書ではなく、営業報告書になってしまいます。計画とは「将来のことを決める」ことですから、計画書には将来に関することのみ書けばよいのであり、過去のことにはあまり触れる必要はないのです。目的地に予定通りたどり着くために、途中で遅れた場合、「何故遅れたか」を考えても意味がありません。遅れをいかにして取り戻すか、だけ考えればよいのです。ただ、そのためには、現在地は確認する必要はあります。
次は、「社長の姿勢を示すものでなければならない。」ということです。これについて驚くのは、実に多くの社長が、自らの姿勢を示さずに「社員の姿勢」を要求していることが多いです。実にさまざまな要求を書き並べています。まるで、事業経営がうまくいかないのは、社員の動きが悪いからであるといっているように聞こえます。しかし、会社の業績は社長の姿勢で決まるといっても過言ではないと思います。方針書は、社長として、わが社の経営をこうする、ということを示すものですから、社長の考えだけを書けばよく、それ以外のことはあれこれ書かないほうがよいと思います。それ以外のことをあれこれ書くとかえって焦点がぼけてしまいます。
最後は、「具体的であること。」である。これは、意外に難しいことです。「販売体制の強化」「生産性の向上」「不良撲滅」というようなものは、抽象論というよりスローガンに聞こえてしまいます。これでは、社長の意図がわかっても、社員一人一人が何をすればよいか、さっぱり分からない。販売体制を強化するために、人員を増加するのかしないのか、販売地域は現状のままなのか、拡大あるいは戦線整理をするのか、どの地域を重点地域にするのか等を明らかにしなければならない。「生産性向上」のためには、配置転換、設備投資等はどうするのか、不良撲滅したいならば、何からやるのか、不良率の目標は何%にするのか等を書く必要があります。しかし、方針書ですから、あまり細かいことを書く必要はありません。明確な方向付けと急所を示すことが重要です。そして、だらだらと文章で書くのではなく、箇条書きのほうがよいです。
以上の3つの条件を踏まえると、一般的には次のような事柄になります。

  1. 基本方針
  2. 商品に関する方針
  3. 得意先に関する方針
  4. 販売促進に関する方針
  5. 未来事業に関する方針
  6. 内部体制整備に関する方針

という形でまとめられるとよいと思います。