株式会社コスモスコンサルティング
 M&A事業部  磯村 崇

中小企業が日本経済の礎であることは、いまさら指摘するまでもありません。中小企業は、企業数で全体の9割以上、雇用では約7割を占めております。その中には世界に通用する優れた技術を持つ企業も数多くあります。日本経済が継続的に発展を続けていくためには中小企業の存在は必要不可欠です。このような日本にとって、大きな問題となっているのが事業承継問題です。

事業承継問題とは、大きく二つに分類されます。

 

  1. オーナー経営者の方が世代交代を迎えられたとき、経営を任せる後継者がいない。
  2. オーナーが保有されている自社株等が思ってもみなかったほど高く評価され、相続税や贈与税の負担が大きくなり承継できない。

 

平成18年10月の中小企業庁の発表で、経営者の高齢化が進んでいることが明らかになりました。これにより、日本にとって事業承継対策が急務となりました。

 

  1. 年間廃業社数約29万社のうち、約7万社は後継者がいない。
  2. 資本金1,000万円以下の中小企業経営者の平均年齢が57.7歳である。

 

これが日本の中小企業の実情です。年を重ねると、日に日に体力の衰えが増してきます。同世代の友人は引退して悠々自適な年金生活を送っています。「もし、自分が病気にでもなったら、誰がこの会社を経営するのだろう。」ふと、こんな考えが頭をよぎる。自分が引退しようと振り返ると、後継者がいないことに気付くのです。

 

  • 息子は二人いるが、長男は医者、次男は大手企業の役員で会社を継ぐ気はない。
  • 役員や社員の中にも社長に向くものがいない。
  • 最近の景気の動向を見ると、中小企業が生き残れるか不安である。

 

いずれにしても、経営者の体力と会社の体力があるうちに、後継者問題を解決しておくことです。それが立派な会社を作り上げた経営者に残された「最後の責任」です。

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M&Aで会社を譲渡するメリットはいくつかあります。

 

  1. 創業者利潤を獲得できる。
  2. 個人保証がはずれる。
  3. 従業員の雇用を継続できる。
  4. 社員の待遇も良くなることが多い。
  5. 社名を存続できる。
  6. 仕入先、販売先は従来どおり仕事を続けられる。

 

これらのM&Aのメリットを考えていくと、経営者として自分の引退や従業員の将来、取引先に与える影響などを真剣に考えた時、M&Aという選択肢が増えているのも納得のいく話です。もし、M&Aという方法がなければ、廃業し、会社を清算することになります。従業員を解雇するということは、従業員とその家族が路頭に迷うだけでなく、社長にとっても一生悔いが残るかもしれません。

一方、譲り受ける企業にもメリットはいくつもあります。

 

  1. 事業拡大や収益改善が図れる。
  2. 迅速な展開が可能になる。
  3. 費用対効果に優れ、リスクも最小限度ですむ。

 

 自社の経営資源だけで会社を伸ばしていくのではなく、自社の弱い部分を譲渡企業から補うことにより、ビジネスチャンスが広がるケースがあります。変化が激しい時代を乗り切るためには他社と積極的に提携関係を構築し、より付加価値の高い製品やサービスを生み出す必要があります。また、M&Aによってすでにその事業で実績を上げている企業を取り込むことで、合理的に新規事業進出に伴うリスクを軽減することが可能です。 そして、最大のメリットは、「時間を買う」点にあるといっても過言ではありません。

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前回は、清算した場合の貸借対照表をご紹介いたしました。では、今回はM&Aを活用した場合にどのようになるのかを見ていきましょう。

貸借対照表

 M&Aをした場合は時価で資産を引き継ぎます。従って、在庫や土地は帳簿価格よりは低くなるケースが多くなります。ですが、建物や設備は償却をしているのであれば、時価と大きくかけ離れることはありません。
 M&Aで最も大きく変わるのが、営業権がつくということです。営業権とは簡単に言えば企業のブランド力みたいなものです。いろいろな算定方法がありますが、今回は年買法で計算してみます。
 最近、数年間の税引き後利益の平均が2,500万円だとし、営業権を4年と仮定して計算するすると、1億円の営業権が得られます。

2,500万円×4年=1億円

今回純資産の金額が5千万円、営業権の金額が1億円。金額を合わせると、ざっと1億5千万円になります。前回の清算のケースが△1億7千万円なので比較すると、3億2千万円の差額が出てきます。清算よりもM&Aの方が得する可能性があります。
 金額の開きも大きいのですが、それ以上にもっと大きなメリットがあります。それは次回にお話しさせていただきます。

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 私の父は私が高校3年生の夏、祖父から受け継いだ事業を廃業することを決めました。これからお金が必要になってくる時期でした。設備投資をしてこれから頑張っていこうと言っていた矢先です。苦渋の選択だったに違いありません。私がM&Aの道を進んだのは必然だったのかもしれません。
 このようなことにならないために、勉強は必要不可欠です。まずは、貸借対照表を見ながら一緒に勉強していきましょう。

貸借対照表

 通常時と清算時を比較しています。売掛金は全額回収出来たとしても、在庫は当然目減りしてしまいます。建物や設備は壊した場合、処分手数料や取壊し費用が発生します。(今回は便宜上10%で計算)
土地は売却するにも購入した金額で売ることはできません。
 純資産が2億円あるから、清算・廃業した後には安泰と思っていたら大間違いです。清算・廃業するのにも資金が必要になってくるのです。ちなみに、今回のケースでは1億7千万円の資金が必要になりました。
 さらに言うなら、従業員の退職金も支払わなければなりません。会社を清算するにもキャッシュが必要不可欠になってきます。
 では、私の父は他に選択肢がなかったのでしょうか。そこでご紹介するのがM&Aを活用する手段です。次回はM&Aを活用した場合、どうなるのかを一緒に見ていきましょう。

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