グループ法人税制⑨ 『現物配当の取扱い』

 平成22年度税制改正にて創設され、平成22年10月より本格適用された"グループ法人税制"について、引き続きご紹介させて頂きます。
 
今回は、グループ法人税制の対象となる『現物配当の取扱い』です。
現物配当とは

本来、会社が行う配当は"現金"しか認められておりませんでしたが、会社法の改正により"現物"での配当が認められました。この"現物"で行う配当を現物配当(法令上は「現物分配」)といいます。

対象となる
グループ法人

親会社と、その親会社が発行済株式の100%を直接若しくは間接的に
保有する子法人や孫法人など。

対象となる取引

対象となるグループ法人間での現物配当

取扱い

(改正前)配当を支払う側の子会社等は、その現物を時価で譲渡したものとみなして、含み損益に対して課税されていました。配当を受け取る側の親会社等は、時価で配当を受けたものとして課税されていました(受取配当金の益金不算入制度により実質的にはほぼ非課税)。また、配当金にかかる源泉所得税の徴収も必要でした。

(改正後)配当を支払う側の子会社等は、その現物を簿価で譲渡したものとみなして、含み損益を計上せずに処理を行うこととされました。配当を受け取る側の親会社等は、簿価で配当を受けたものとして、現物配当の特例により完全に非課税とされました。また、配当金にかかる源泉所得税は徴収しないこととなりました。

 

子会社から親会社への現物(=資産)の移動方法の選択肢が増えました。親会社が孫会社を子会社化したいときに、子会社から孫会社株の現物配当を受けて孫会社株式を親会社に移すなど、グループ組織の再構築などに活用することが可能です。
 
グループ法人税制については、これで終了とさせて頂きます。ありがとうございました。
次回からは平成23年度税制改正についてお伝えさせて頂く予定です。
         
  税理士法人コスモス 田口博司

グループ法人税制⑧ 『大企業の子会社の取扱い』
 
平成22年度税制改正にて創設され、平成22年10月より本格適用される"グループ法人税制"について、引き続きご紹介させて頂きます。
 

 

今回は、グループ法人税制の対象となる『大企業の子会社の取扱い』です。

対象となる子会社

 

資本金が5億円以上である親会社と、その親会社が発行済株式の100%を直接若しくは間接的に保有する子法人や孫法人など。

対象となる項

 

大企業(資本金5億円以上)の子会社に対する中小企業向け優遇税制

取扱

 

以下の中小企業向け優遇税制の適用がなくなります。

 

①年間所得800万円までに対する優遇税率の適用

②特定同族会社の特別税率の不適用(留保金課税制度)

③貸倒引当金の法定繰入率の適用

④交際費の損金不算入制度の定額控除制度

⑤欠損金の繰戻還付制度

 

 
資本金が5億円以上の親会社の子会社等も、大企業とみなして中小企業向けの優遇措置を不適用とする改正内容です。特に、上場企業の子会社に影響が大きいと推測されます。100%の資本関係がある子会社、孫会社等が対象であるため、今後は子会社等の資本政策などの検討も必要になると考えられます。

税理士法人コスモス 田口博司

グループ法人税制⑦

2011年1月16日
平成22年度税制改正にて創設され、平成22年10月より本格適用される"グループ法人税制"について、引き続きご紹介させて頂きます。

 今回は、グループ法人税制の対象となる『子会社が解散した場合の取扱い』です。

対象となる子会社   

  親会社と、その親会社が発行済株式の100%を直接若しくは間接的に保有する子法人や孫法人など。

対象となる項目   

  解散する子会社の繰越欠損金、子会社株式、子会社貸付金

取扱い  

  (改正前)
①繰越欠損金 子会社の繰越欠損金は、その子会社と共に消滅していました。
②子会社株式 親会社等では、子会社株式消滅損失を損金に算入することができました。
③子会社貸付金 要件を満たせば、貸し倒れ損失として損金に算入することができました。

  (改正後)
①繰越欠損金 要件を満たせば、子会社株式の持株割合に応じて、その株主が引き継ぐこととされました。
②子会社株式 子会社株式消滅損失は損金に算入することができなくなりました。
③子会社貸付金 損金に算入することができなくなりました。
 
解散した子会社の繰越欠損金を引き継げるようになりました。
改正前までは、繰越欠損金を引き継ぐためには合併するしか方法がありませんでした。
今後は、税務上の観点からの不採算子会社の処遇については、合併の他に、解散という選択肢が増えることになります。                        以上
      

グループ法人税制⑥ 『グループ法人間の自己株式の売買』
 
平成22年度税制改正にて創設され、平成22年10月より本格適用される"グループ法人税制"について、引き続きご紹介させて頂きます。
 
今回は、グループ法人税制の対象となる『グループ法人間の自己株式の売買』です。

対象となるグループ法人   

  親会社と、その親会社が発行済株式の100%を直接若しくは間接的に保有する子法人や孫法人など。

対象となる取引

  対象となる法人間での自己株式の売買

取扱い

    (改正前)自己株式の売買を行った場合には、売却をした法人において、
        税金計算上、増税となるケースと節税となるケースがありました。

  (改正後)自己株式の売買を行った場合には、売却をした法人において、
        いずれのケースにおいても税金計算上は影響をさせないこととなりました。

 これまでにグループ法人間で行われてきた自己株式の売買を利用した節税スキームを規制する内容です。
 ただ、自己株式の売買により増税となるため、
 グループ法人間での資本関係の整理を躊躇していた会社にとっては朗報ともいえる改正です。
 
税理士法人コスモス 田口博司(お問合せTEL 052-203-5560)           
                                                   以  上 

グループ法人税制⑤ 『グループ法人間の配当金の授受』
 
平成22年度税制改正にて創設され、平成22年10月より本格適用される"グループ法人税制"について、引き続きご紹介させて頂きます。
 
今回は、グループ法人税制の対象となる『グループ法人間の配当金の授受』です。

〇対象となるグループ法人   

 親会社と、その親会社が発行済株式の100%を直接
 若しくは間接的に保有する子法人や孫法人など。

〇対象となる取引

   対象となる法人間での株式配当

〇取扱い
 
 (改正前)子会社からの配当金は基本的には非課税でしたが、配当金を受取る親会社が支払う支払利息のうち、子会社株式の取得コスト相当額として計算される 金額については、非課税となる配当金から除かれて課税対象とされていました。(改正後)改正前に課税対象とされていた部分についても非課税とされました。 これにより、子会社からの配当金については完全に非課税となりました。
 
グループ法人間での株式配当については、完全に非課税とする内容です。今までにも増して、グループ全体での資金の有効活用が可能になります。                      

以  上 
 
グループ法人税制④ 『グループ法人間の寄付金の授受』
 
平成22年度税制改正にて創設され、平成22年10月より本格適用される"グループ法人税制"について、引き続きご紹介させて頂きます。
 
今回は、グループ法人税制の対象となる『グループ法人間の寄付金の授受』です。

・対象となるグループ法人

    親会社と、その親会社が発行済株式の100%を直接若しくは
   間接的に保有する子法人や孫法人など。

・対象となる取引

    対象となる法人間での寄付(法人間での贈与)

・取扱い

    A.寄付をした法人では、その寄付金を税金計算上は損金に算入 しない(経費にならない)。
    B.寄付を受けた法人では、その寄付金を税金計算上は益金に算入しない(利益にならない)。
 
グループ法人間での寄付については、税金計算上は益金としても損金としても認識しないという内容です。使い方によっては、財務内容の改善や相続対策としての応用も可能になります。
                                                   以上






 
グループ法人税制③ 『グループ法人間の資産の売買』

平成22年度税制改正にて創設され、平成22年10月より本格適用される"グループ法人税制"について、引き続きご紹介させて頂きます。
 
今回は、グループ法人税制の対象となる『グループ法人間の資産の売買』です。

・対象となるグループ法人

    1.親会社と、その親会社が発行済株式の100%を直接若しくは
        間接的に保有する子法人や孫法人など。
    2.個人である株主とその親族で、発行済株式の100%を直接
        若しくは間接的に保有する法人同士。

・対象となる取引

   固定資産、販売用の土地、有価証券、金銭債権などで帳簿価額1,000万円以上の資産の売買。

・取扱い
 
    A.売買をした時点では、売却に伴う売却益や売却損を税金計算上は反映させない
        (課税の繰延べ)。
    B.売却先のグループ法人が、その資産を次に売却した場合に、
       その時点で売却益や売却損を税金計算計上、反映させる。
 
グループ法人間での資産の売買について、最初の売買の時点では税金計算上は反映させないこととなるため、決算対策上は注意を要します。              以上


グループ法人税制② 『グループ法人とは!?』
 
平成22年度税制改正にて創設され、平成22年10月より本格適用される"グループ法人税制"について、引き続きご紹介させて頂きます。
 
今回は、グループ法人税制の対象となる『グループ法人とは!?』です。

グループ法人  
1.親会社と、その親会社が発行済株式の100%を
  直接若しくは間接的に保有する子法人や孫法人など。
 
2.個人である株主とその親族で、発行済株式の100%を
  直接若しくは間接的に保有する法人同士。

例示   
  A.親会社と、その100%子会社。
  B.親会社と、その100%子会社と、その100%孫会社。
  C.社長と奥様やお子様で100%出資している会社同士。
  D.社長が100%出資して設立した会社と、社長の弟が100%出資して設立した会社同士。

 意外と適用対象が広範囲となるケースが多くあり、今後は同族間の取引については今まで以上に注意が必要となってきます。
                                           税理士法人コスモス

グループ法人税制① 『グループ法人税制の概要』

 今回からは、平成22年度税制改正にて創設され、平成22年10月より本格適用される  "グループ法人税制"についてご紹介させて頂きます。

 まず今回は、『グループ法人税制の概要』です。

概  要
   グループ内の法人間の取引について、税務上の取扱いを新たに定めた税制です。例えば、グループ内で行なった不動産の売買取引について、その売却損益を繰延べ処理する(その取引を行った時点では、損失としても利益としても認識しない)という内容です。

適用対象
   グループ法人間の取引

対象となる主 な 取 引
   グループ法人間の資産の売買
  グループ法人間の寄付金の授受
  グループ法人間の配当金の授受
  グループ法人間の自己株式の売買子会社が解散した場合の取扱い
  大企業の子会社の取扱い現物配当の取扱い

適用対象などについて、次回以降、順次ご紹介させて頂きます。
                                                税理士法人コスモス