災害に関する税務上の取り扱い⑤
○震災関連項目

今回は、【東日本大震災で被害を受けた法人に対する国税関係の特例措置等】についてご紹介させていただきます。

法人税関係

1 震災損失の繰戻しによる法人税額の還付の特例

法人で平成23年3月11日から平成24年3月10日までの間に終了する事業年度の欠損金額のうち、棚卸資産等について生じた震災による損失額を、前2年以内に開始する事業年度の所得金額に繰り戻して法人税額の還付請求をすることができます。
 還付請求をする場合には、「震災損失の繰戻しによる還付請求書」に必要事項を記載の上、震災欠損事業年度の確定申告書と併せて税務署に提出する必要があります。
(注)平成23年3月11日から同年9月10日までの間に終了する仮決算による中間申告期間(以下「中間期間」といいます。) においても同様に還付請求することができます。

2 仮決算の中間申告による所得税額の還付の特例

 法人の平成23年3月11日から平成23年9月10日までに終了する中間期間において、棚卸資産等について生じた震災による損失額で一定のものがある場合には、仮決算の中間申告をすることにより、その中間期間に課される所得税額で法人税額から控除しきれなかった金額(その損失額を限度)の還付を受けることができます。
 この制度の適用を受ける場合には、仮決算の中間申告書を税務署に提出し、その申告書に還付を受ける所得税額を記載する必要があります。

3 被災代替資産等の特別償却の特例

平成23年3月11日から平成28年3月31日までの間に、
イ 被災した資産に代替する資産として、建物、構築物、機械装置、船舶、航空機、車両運搬具の取得等をして事業の用に供した場合
ロ 被災区域等で、建物、構築物、機械装置の取得等をして事業の用に供した場合
には、その事業の用に供した事業年度において、取得価額の15%~30%(中小企業者は18%~36%)の特別償却ができます。
 この制度の適用を受ける場合には、確定申告書に「被災代替資産等の特別償却の償却限度額の計算に関する付表」を添付する必要があります。

4 特定資産を買換えした場合の課税の特例

 平成23年3月11日から平成28年3月31日までに次の買換えを行った場合には、一定の要件の下、譲渡した資産に係る譲渡益に相当する金額の範囲内で、圧縮記帳の方法により損金算入することができます。

イ 被災区域内の土地等、建物、構築物(平成23年3月11日前に取得されたものに限ります。) の譲渡をし、国内にある土地等、減価償却資産を取得する場合

ロ 被災区域外の土地等、建物、構築物を譲渡し、被災区域内にある土地等、減価償却資産を取得する場合
 この制度の適用を受ける場合には、確定申告書に損金算入に関する申告の記載をし、かつ、その確定申告書に「特定資産の買換えにより取得した資産の圧縮額等の損金算入に関する明細書(別表13(5))」を添付する必要があります。

5 申告期限の延長に伴う法人税の中間申告書の提出に係る特例

 震災に係る国税通則法第11条の規定による申告期限の延長に伴い、法人税の中間申告書の提出期限と確定申告書の提出期限が同一日となる場合には、中間申告書の提出は必要ありません。                
                                                                                       税理士法人コスモス 佐野誠司 

    

災害に関する税務上の取り扱い⑤

○震災関連項目

今回は、【個人の方が義援金等を支出した場合の取扱い】についてご紹介させていただきます。

個人の方が義援金等を支出した場合

個人の方が義援金等を支出した場合には、その義援金等が国又は地方公共団体に対する寄附金や財務大臣が指定するものなど一定のものであるときは、「特定寄附金」に該当し、寄附金控除の対象となります。
  特定寄附金を支出した場合、次の算式で計算した金額が、所得の金額から控除されることになります。

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(注) 震災関連寄附金以外の特定寄附金の合計額は、所得金額の40%相当額が限度です。
  震災関連寄附金以外の特定寄附金の合計額及び震災関連寄附金の合計額は、所得金額の80%相当額が限度です。

「震災関連寄附金」とは、次に掲げる義援金等をいいます。

  1. 平成23年3月11日から平成25年12月31日までの期間(以下「指定期間」といいます。)内、国に対して直接寄附した義援金等
  2. 指定期間内に著しい被害が発生した地方公共団体*に対して直接寄附した義援金等
  3. 日本赤十字社の「東日本大震災義援金」口座へ直接寄附した義援金、新聞・放送等の報道機関に対して直接寄附した義援金等で最終的に国又は著しい被害の発生した地方公共団体*に拠出されるもの
  4. 社会福祉法人中央共同募金会の「東日本大震災義援金」として直接寄附した義援金等
  5. 社会福祉法人中央共同募金会の「災害ボランティア・NPO活動サポート募金」として直接寄附した義援金等
  6. 認定NPO法人に対し、東日本大震災の被災者支援活動に特に必要な資金に充てるために行った寄附金(その募集に際し、国税局長の確認を受けたものに限ります。)
  7. 1から6以外の義援金等のうち、寄附した義援金等が、募金団体を通じて、最終的に国又は著しい被害が発生した地方公共団体*に指定期間内に拠出されることが明らかであるもの

※ 「著しい被害が発生した地方公共団体*」とは、被災者生活再建支援法の適用団体とされており、具体的には、青森県、岩手県、宮城県、福島県、茨城県、栃木県、千葉県の各県(県内の市町村も含みます。) 、長野県栄村、新潟県十日町市、新潟県津南町をいいます。
また、上記⑤及び⑥の義援金等は、「特定震災指定寄附金」として、寄附金控除(所得控除)との選択により、税額控除の適用を受けることもできます。

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  特定震災指定寄附金を支出した場合、次の算式で計算した金額を、所得税の額から控除することができます。

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(注)特定震災指定寄附金の額の合計額は所得金額の80%相当額が限度です。
税額控除額は、その年分の所得税額の25%相当額が限度です。

税理士法人コスモス 佐野誠司

会計情報 
 
○震災関連項目

今回は、【法人が義援金等を支出した場合の取扱い】についてご紹介させていただきます。

 (1) 法人が義援金等を支出した場合

法人が義援金等を支出した場合には、その義援金等が「国又は地方公共団体に対する寄附金」(国等に対する寄附金)、「指定寄附金」に該当するものであれば、支出額の全額が損金の額に算入されます。

「国等に対する寄附金」には次の①②③又は⑥に掲げる義援金等が、「指定寄附金」には次の④又は⑤に掲げる義援金等が該当します。

①    国又は地方公共団体に対して直接寄附した義援金等
②    日本赤十字社の「東日本大震災義援金」口座へ直接寄附した義援金、
   新聞・放送等の報道機関に対して直接寄附した義援金等で最終的に国又は地方公共団体
   に拠出されるもの
③    社会福祉法人中央共同募金会の「東日本大震災義援金」として直接寄附した義援金等
④    社会福祉法人中央共同募金会の「災害ボランティア・NPO活動サポート募金」として
   直接寄附した義援金等
⑤    認定NPO法人に対し、東日本大震災の被災者支援活動に特に必要な資金に充てるために
   行った寄附金(その募集に際し、国税局長の確認を受けたものに限ります。)
⑥    ①から⑤以外の義援金等のうち、寄附した義援金等が、募金団体を通じて、最終的に
   国又は地方公共団体に拠出されることが明らかであるもの

(2) 義援金等を支出した法人が、損金算入の適用を受けるための手続き

確定申告書の別表14(2)「寄附金の損金算入に関する明細書」の「指定寄附金等に関する明細」に寄附した義援金等に関する事項を記載し、義援金等を支出したことが確認できる書類を保存する必要があります。

(注) 日本赤十字社・中央共同募金会の「東日本大震災義援金」口座、国・著しい被害が発生した地方公共団体の専用口座への寄附については、振込票の控(受領証)等をもって寄附したことを証する書類として差し支えありません。

                                 税理士法人コスモス 佐野誠司 

会計情報
  
○震災関連項目

前回に引き続き、【災害に関する主な税務上の取扱い】についてご紹介させていただきます。

所得税関係

(10) 個人が支払を受ける災害見舞金
 個人が支払を受ける災害見舞金で、その金額がその受贈者の社会的地位、贈与者との関係等に照らし社会通念上相当と認められるものについては、課税しないものとされています。

(11) 低利又は無利息により生活資金の貸付けを受けた場合の経済的利益
 災害により臨時的に多額な生活資金を要することとなった役員又は使用人が、使用者からその資金に充てるために低利又は無利息で貸付けを受けた場合に、その返済に要する期間として合理的と認められる期間内に受ける利息相当額の経済的利益は、課税しなくて差し支えないこととされています。

(12) 被災事業用資産の損失の繰越し
 事業を営む個人のその年の前年以前3年内の各年において生じた純損失の金額のうち、棚卸資産、固定資産等について災害により生じた損失に係るもの(被災事業用資産の損失の金額)がある場合には、その損失の生じた年分が青色申告書を提出しなかった年分であっても、その被災事業用資産の損失の金額に相当する金額は、その年分の総所得金額等の計算上控除することとされています。

相続・贈与税関係

(13) 農地等に係る納税猶予の特例の継続適用
 相続税又は贈与税における「農地等に係る納税猶予の特例」の適用を受けている農地等が、農業に使用されなくなった場合には、納税が猶予されていた一定の税額を納付しなければならないこととされています。
 しかし、その農地等が、例えば建築資材の置き場に使用されるなど、災害のためにやむを得ず一時的に農業に使用されなくなった場合には、その土地は農業に使用しているものとして特例の適用が継続されます。
印紙税関係

(14) 災害義援金の受取書
 新聞社、放送局等が、災害援助を目的として一般から広く義援金を募集する場合、災害義援金の受領事実を証明するために作成する受取書は、課税しないことに取り扱われます。
 なお、金融機関が災害義援金の振込依頼を窓口等で受け付けた際に作成する受取書で次のいずれにも該当するものについても同様に取り扱われます。
  振込手数料が無料であること
  振込先が広く一般に災害義援金を募っている団体等であること
  災害義援金の振込金受取書であることがその文書上明らかにされていること

自動車重量税関係

 (15) 被災自動車に係る自動車重量税の還付
 自動車の販売業者又は自動車分解整備事業者が、自動車の使用者のために自動車検査証(車検証)の交付等又は車両番号の指定を受ける目的で保管している自動車のうち、自動車重量税を納付して車検証の交付等又は車両番号の指定を受けた後、被災により走行の用に供されることなく使用が廃止されたものについては、納付した自動車重量税の還付を受けることができます。
 なお、既に走行の用に供していた自動車については、使用済自動車の再資源化等に関する法律(自動車リサイクル法)等に基づき適正に解体された場合には、還付される制度があります。                   
                                      税理士法人コスモス 佐野誠司  

会計情報  

○震災関連項目
前回に引き続き、【災害に関する主な税務上の取扱い】についてご紹介させていただきます。

法人税関係
(5) 取引先に対する災害見舞金等
 法人が、被災前の取引関係の維持・回復を目的として、取引先の復旧過程においてその取引先に対して行った災害見舞金の支出、事業用資産の供与等のために要した費用は、交際費等に該当しないものとして損金の額に算入されます。

(6) 取引先に対する売掛金等の免除等
 法人が、災害を受けた取引先の復旧過程において、復旧支援を目的として売掛金、貸付金等の債権を免除する場合には、その免除することによる損失は寄附金又は交際費等以外の費用として損金の額に算入されます。
 また、既契約のリース料、貸付利息、割賦代金の減免を行う場合及び災害発生後の取引につき従前の取引条件を変更する場合も、同様に取り扱われます。

(7) 取引先に対する低利又は無利息による融資
 法人が、災害を受けた取引先の復旧過程において、復旧支援を目的として低利又は無利息による融資を行った場合における通常収受すべき利息と実際に収受している利息との差額は、寄附金に該当しないものとされます。

(8) 自社製品等の被災者に対する提供
 法人が、不特定又は多数の被災者を救援するために緊急に行う自社製品等の提供に要する費用は、寄附金又は交際費等に該当しないもの(広告宣伝費に準ずるもの)として損金の額に算入されます。

(9) 災害による損失金の繰越し
 法人の各事業年度開始の日前7年以内に開始した事業年度において生じた欠損金額のうち、棚卸資産、固定資産等について災害により生じた損失に係るもの(災害損失欠損金額)がある場合には、その事業年度が青色申告書を提出しなかった事業年度であっても、その災害損失欠損金額に相当する金額は、その各事業年度において損金の額に算入されます。

税理士法人コスモス 佐野誠司

3月11日に発生した東日本大震災は、今なお被害状況の全貌を把握しきれないほどの大災害となっております。被害に遭われた皆様に心よりお見舞いを申し上げるとともに、一日も早い復旧・復興をお祈り申し上げます。

この震災の影響により、前回まで連載させていただきました【平成23年度税制改正法案】につきましては、国会に提出中でありますが衆議院で棚上げ状態となっております。
また、3月31日に期限切れを迎えた租税特別措置等は,6月末までの暫定措置が手当てされました。
従いまして、今回から、【災害に関する主な税務上の取扱い】についてご紹介させていただきます。


災害に関する主な税務上の取扱い①

法人税及び所得税共通

(1)災害により滅失・損壊した資産等

 法人の有する商品、店舗、事務所等の資産が災害により被害を受けた場合に、その被災に伴い次のような損失又は費用が生じたときには、その損失又は費用の額は損金の額に算入されます。
 なお、事業を営む個人の有する事業用資産についても、同様となります。

  商品や原材料等の棚卸資産、店舗や事務所等の固定資産などの資産が災害により滅失又は損壊した場合の損失の額
  損壊した資産の取壊し又は除去のための費用の額
  土砂その他の障害物の除去のための費用の額

(2)復旧のために支出する費用

  法人が、災害により被害を受けた固定資産(以下「被災資産」といいます。)について支出する
次のような費用に係る資本的支出と修繕費の区分については、次のとおりとなります。

  被災資産についてその原状を回復するための費用は、修繕費となります。
  被災資産の被災前の効用を維持するために行う補強工事、排水又は土砂崩れの防止等のために支出する費用について、修繕費とする経理をしているときは、この処理が認められます。
  被災資産について支出する費用( 又は に該当するものを除きます。)の額のうち、資本的支出か修繕費か明らかでないものがある場合、その金額の30%相当額を修繕費とし、残額を資本的支出とする経理をしているときは、この処理が認められます。
 なお、これらの取扱いは、事業を営む個人においても同様となります。
 (注) 法人が災害により被害を受けた製造設備に対して支出する修繕費用等について、企業会計上、適正な原価計算に基づいて原価外処理(費用処理)をしているときは、税務上もこの処理が認められます。 

(3)従業員等に支給する災害見舞金品

  法人が、災害により被害を受けた従業員等又はその親族等に対して一定の基準に従って支給する災害見舞金品は、福利厚生費として損金の額に算入されます。
 また、法人が、自己の従業員等と同等の事情にある専属下請先の従業員等又はその親族等に対して一定の基準に従って支給する災害見舞金品についても、同様に損金の額に算入されます。
 なお、事業を営む個人においても同様に取り扱われます。

 (4) 災害見舞金に充てるために同業団体等へ拠出する分担金等

  法人が、所属する同業団体等の構成員の有する事業用資産について災害により損失が生じた場合に、その損失の補てんを目的とする構成員相互の扶助等に係る規約等に基づき合理的な基準に従って、同業団体等から賦課され、拠出する分担金等は、その支出する事業年度の損金の額に算入されます。
 なお、この取扱いは、事業を営む個人においても同様となります。
                                                    以 上
                                                   
                                     税理士法人コスモス 佐野 誠司