仕訳は、取引をどの勘定の借方とどの勘定の貸方に記入すべきであるかを定めることであり、一定の記入法則に従って行われます。
まず、取引によって変動した財産の動きを5つの取引要素である資産、負債、純資産、収益、費用に分類し、必ず2つ以上の科目に記入されることに特徴があります(取引の二重性)。
例えば、現金という資産が100,000円増加した場合、現金の増加100,000円だけでは帳簿に記録しません。
なぜ現金が増加したのか、原因を考え、取引を二面的に記録するのです。
さらに、借方と貸方に対立して同額を記入します(貸借平均の原則)。
なお、取引は次のように仕訳します。
( 借方科目 )金額 ( 貸方科目 )金額
取引が発生すると勘定に記録して計算しますが、その取引を直ちに勘定口座に記入するのではありません。
勘定口座に記入しやすいように、ひとまず借方と貸方に区分けし、発生した順に記録していきます。
この記録を仕訳といい、仕訳帳という帳簿(会計ソフトを導入されている場合はそのソフト)に記録されます。
(1)勘定
勘定は大別して、貸借対照表に関する勘定と損益計算書に関する勘定に分かれ、その内容はさらに具体化、細分化され、それぞれの名称が付けられて1つの計算単位となります。これを『勘定科目』といいます。なお、この勘定科目別の記録、計算を行うための帳簿を『総勘定元帳』といい(単に元帳もといいます)、その元帳上に設けられた勘定を『勘定口座』といいます。
【勘定記入のルール】
- 資産の増加は借方、減少は貸方に記入
- 負債の増加は貸方、減少は借方に記入
- 純資産の増加は貸方、減少は借方に記入
- 収益の発生は貸方に記入
- 費用の発生は借方に記入
(1)取引
簿記上の取引とは、企業の資産・負債・純資産・収益・費用に増減変化をもたらすあらゆる事象をいいます。
簿記上の取引は、社会で常識的に考えられている取引概念とは異なる点があります。
例えば建物が火災によって消失した場合には、一般的に取引とは言いませんが、資産が減少するため簿記上は取引となります。
また、土地や建物などを借りるための契約を結ぶことは、一般的には取引と言いますが、資産・負債・純資産・収益・費用に増減が生じないため簿記上と取引にはなりません。
(2)取引の記録方法
企業の所有している財産は、取引が生じることによって内容が変化していきます。
簿記では、この変更の結果を明らかにするために、『勘定』というものに記録して計算していきます。
勘定には、+-の符号を用いて増減を記録する代わりに、記入の位置を左右に分け、増加と減少を区分します。
現金の増減記録を例にとると、次のように左側(借方)に入金、すなわち増加を記入し、右側(貸方)に出金、すなわち減少を記入します。
※ 簿記では勘定の左側を『借方』、右側を『貸方』といいますが、これには借りたとか貸したという意味は全くありません。たんに左右を区別する言葉として覚えてください。 以上のような取引を記録する場所を勘定と呼び、T字型をしているところから、T字型勘定といいます。
(1)財政状態…商売に投下された資金を、どこから、どのような条件で受入れているかという資金の調達源泉と、その資金をどのようなものに使っているのかという資金の運用状態をいいます。
【資金の調達源泉と資金の運用状態】
資金の調達源泉(元手をどのように集めたかをいう)…負債、純資産
資金の運用状態(元手をどのように使っているかをいう)…資産
(2)資産・負債・純資産の内容
①資産 (イ)企業が所有するもののうち金銭価値で評価できるもの …現金、商品、建物、備品、車輌運搬具など (ロ)企業が将来外部より金銭を受け取ることができる権利 …売掛金、未収入金、貸付金など
②負債 企業が将来外部に金銭を支払わなければならない義務 …買掛金、未払金、借入金など
③純資産 資産から負債を差し引いた残額 …資本金など
(3)貸借対照表…上記に基づき、資産と負債及び純資産を記載し、一定期日の財政状態を明らかにするための書類をいいます。
一定期日の財政状態は、貸借対照表を作成することによって明らかにされる。そこで貸借対照表を作成するためには、毎日変動する資産や負債をもれなく記録しておく必要があります。
簿記の基礎講座(第3回 経営成績)
(1)経営成績…一定期間の営業活動によって得た利益又は損失が、どのようにしていくら生じたかをいいます。
【収益と費用】
収益(外部からお金が入ってくる原因)…売上、受取手数料、受取利息、受取地代等
費用(外部へお金が出ていく原因)…給料、広告宣伝費、旅費交通費、水道光熱費等
(2)損益計算書…上記に基づき、収益と費用を対比させ、当期純利益(一定期間の経営成績)を表示するための書類をいいます。
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一定期間の経営成績は、損益計算書を作成することによって明らかにされます。そこで損益計算書を作成するためには、毎日発生する収益や費用をもれなく記録しておく必要があります。
簿記の基礎講座
(第2回 簿記の目的)
人間の生活は、狩猟の時代から物々交換の時代となり、そして現在の貨幣経済の時代に至ったが、こうなると衣食住の欲求を満たすためには、まず金銭を得なければならなくなった。
現在の社会では、種々の財産を所有し、現金の収入、支出が行われるようになったが、初期の頃は所有する財産も少なく、また現金の収入及び支出も少ないので、記憶しておくだけで十分であった。
しかし、多くの財産を所有し、また現金の収入及び支出も頻繁に行われるようになると、記録の力を借りなければならなくなった。特に、企業経営上、企業の発展を図るために、しっかりとした経営の計画を立て、それを達成するために合理的な活動をしていかなければならない。
そこで、現在の財産の運用状態を明細に記録し、それに基づいて一定期間の経営成績と一定期日の財政状態を明らかにする必要が生じた。また、企業の経営成績や財政状態については、企業の経営者だけでなく、株主や投資家、金融機関などの債権者、従業員、さらには税金を徴収する国や地方公共団体なども大きな関心を持っている。
【簿記の目的】
① 日常の経営活動に伴う財産の変動を組織的に記録することによって、企業の財産管理に役立てる。
② 一定期間(期中)における企業の経営成績を明らかにする
③ 一定期日(期末)における企業の財政状態を明らかにする。